5 血痰が出た

5.1 血痰を生じる疾患

5.1.1 気管支拡張症

• 慢性的な咳嗽、喀痰、血痰などの症状で来院する。
• 最終的にはHRCTにて診断。
• 緑膿菌の感染が多い。

5.1.1.1 治療

• 喀血にて入院した際は、止血剤の投与や体位ドレナージに加えてインダシン座薬 25mgを用いる³⁸と止血できることがある。
• 増悪して入院した場合にはCOPDの治療に準じるが、呼吸苦が2-3日遷延することが多い。

5.1.2 アスペルギルス感染症

• 肺結核、間質性肺炎などによって生じた空洞、のう胞に感染し菌球を形成する。
• 胸XpやCTで菌球を証明して診断する。
• 外科的切除も検討されるが、通常困難。
• 通常はステロイド投与中の患者など、何らかの免疫不全のある人に発症する。

5.1.2.1 治療

• イトリゾール200mg/1X の内服か、ファンギゾンの静注を行う。
• ファンギゾンの静注薬は扱いが非常に難しいため、必ず使い慣れた医師に使用法を教えてもらう。アレルギーや腎障害を防ぐため、24時間持続で静注したり、脂肪乳剤に溶解する方法などがある。

5.1.3 肺結核

• P.参照。
• 慢性期の喀血のコントロールにインダシン座薬、H2ブロッカーの投与が効果があったという報告がある。

5.1.4 肺動静脈瘻

慢性感染症による喀血も、新生動脈の破綻から生じる点では本疾患と同じ。 喀血を繰り返す患者で気管支動脈造影を行い、診断。

5.1.4.1 治療

気管支動脈造影後に塞栓術を施行する。最悪脊髄動脈を閉塞して対麻痺になったりするリスクがあるので注意。

5.1.5 血管炎

Wegener肉芽腫($\rightarrow$P.)、MPA、Churg-Strauss症候群($\rightarrow$P.)などは喀血を生じることがある。 尿蛋白が陽性、顕微鏡的血尿を生じることが多い。 P-ANCA/C-ANCAを提出する。

5.1.5.1 治療

• P.参照。
• 血管炎に伴う肺胞出血は予後が非常に悪い。
• 数日の経過で貧血が進行し、呼吸状態が悪化していく。
• 通常の気管支鏡的止血ではなく、血漿交換、免疫抑制剤による治療を開始する。
• いずれにしても腎臓内科、呼吸器内科と相談を。