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索引
1 ゼーゼーする
- 喘息発作の診断のついている患者は、喘鳴の原因診断をする前に気管支拡張剤の吸入を開始する。
- 心原性肺水腫との鑑別が問題になるが、喘息の治療が心不全を致命的に増悪させることは無い。鑑別がつかなかったら両方の治療を行う。
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起坐位にする
- 起坐位のほうが呼吸が楽
心不全/喘息
- 臥位のほうを好む
間質性肺炎/肺高血圧症
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酸素を投与する
- カヌラ2l程度からはじめ、SpO290を目標に酸素投与を行う。
1
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- 1 COPDのCO2貯留が怖いが、
酸素の量を上げてもSpO2の上がらないCOPDは挿管の適応である。
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聴診を行う
- 喘鳴の左右差
気胸の合併
- 喘鳴が弱い
発作は重症である
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血液ガスをとる
- わずかな過換気とアルカローシス
喘息の軽症-中等症
- CO2貯留とアシドーシス
呼吸筋疲労
挿管を考慮
- CO2の貯留とHCO3高値
喘息よりもCOPD増悪の可能性
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気管内挿管の適応を考える
- 意識状態が悪い
- 呼吸筋疲労
呼吸数が減少する
- 酸素を全開にしてもSpO290
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気管支拡張剤を吸入
喘息の診断のついている人はまず吸入を行う。
- サルタノール6-12パフをスペーサーを用いて20分ごとに2回吸入。
- ベネトリン0.5-1ml+生食5mlをネブライザーで20分ごとに2回吸入。
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心不全治療を考慮
- 胸部単純写真で肺うっ血
- エコー上胸水がある
- 吸入を2回行っても症状が全く改善しない
肺水腫の治療(P.参照)を考慮する。
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ステロイドを静注する
ソル・コーテフで200mg1を静注する。効いてくるのが遅い薬なので、
喘息の診断のついている人ならライン確保と同時に使う。
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- 1 施設ごとに
好みのものをどうぞ。
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1.3.1 気管支喘息
- 外来に呼吸困難を主訴に来院する患者の33%は気管支喘息。
- 過去に重篤な喘息発作を生じた人は息苦しさに対する感覚が非常に鈍くなっているので注意。症状と発作の重症度が相関しないことがある。1
1.3.1.1 治療
今までに"気管支喘息"という診断を受けているなら、まず気管支拡張剤の吸入を行う。
- 中等症の場合:以下を20分ごとに繰り返す。
- サルタノール6-12パフを、スペーサーを用いて吸入
- ベネトリン20.5-1ml+生食5mlをネブライザーで吸入
- 重篤な発作3の場合も、吸入の治療が中心となる。
- ベネトリン0.5-1ml+生食5mlをネブライザーで20分ごとに吸入
- ベネトリン2-3ml+生食10mlを1-2時間かけて吸入
- これに加えて、アトロベント4パフを、スペーサーで20分おきに吸入。
- 気管支拡張薬を開始するとともに、メチルプレドニン換算で40mgに相当するステロイドを静注4する。
- 非常に重篤な発作では、エピネフリン0.3mlの皮下注を心電図モニター下に考慮する。
気管支喘息の患者であっても、急性期の酸素投与によりCO2の貯留を生じ得る。
CO2ナルコーシスが問題となるが、一方で低酸素血症を遷延させると患者は死亡してしまう。
シンプルに、"SpO2 90ちょうどを目標に、少量酸素投与。意識が悪くなったり、症状が取れなければ挿管"と覚えておいて5も、少なくとも患者を殺すことは無い。
1.3.1.3 喘息患者の挿管
喘息患者の気管内挿管は難しい。
- 気管が過敏で、咳嗽反射が強い
- 若い人が多いので、力が強い
- 呼吸困難が強いので、セデーションが効かない
1回目の挿管に失敗すると、気管の収縮が強くなってしまい、非常に危険な状態になる。
セデーションに用いる薬剤としては、ディプリパンのような効果発現の早いもの
6が勧められている。
セデーション薬剤に加えて、筋弛緩剤を用意してもらうこと、
科を問わずにとにかく多くの人を集め、その中で一番上手な人7にやってもらうことを心がける。
1.3.2 アナフィラキシー
- p.参照。
- 喘鳴とショックを生じる前に咳を生じる人が多い。
- 突然発症する呼吸困難に喘鳴、血圧低下、皮膚紅潮を生じる。
- ACE阻害薬、造影剤、抗生物質、NSAIDsといった薬剤で生じやすい。
1.3.3 アレルギー性肺アスペルギルス症
- 初発症状は喘息発作、喀痰、発熱。
- コントロールの悪い喘息患者で、喘息症状に加えて末梢血好酸球増多、
アスペルギルス抗原に対する沈降抗体陽性、IgE高値などがあった場合に
診断。
- 気管支喘息に準じた治療。コントロールがつきにくいので、プレドニンの全身投与(40-80mg程度)を開始し少なくとも2ヶ月継続、漸減。
- 抗真菌薬の投与が効果があるのかどうかは分かっていないが、ステロイド依存例ではイトリゾール200mg/1X の投与を半年程度行う。
1.3.4 Churg-Strauss 症候群
- 血管炎の一つで、好酸球の増加、気管支喘息症状、小血管の壊死性血管炎を生じる。30-50歳代に多く、男女差なし。
- 症状としては、発熱、皮疹(紅斑、紫斑)がみられる。ミエロペルオキシダーゼを抗原とするP-ANCAが約半数で陽性。
- 通常プレドニンを40-80mg/日より開始し漸減していく。
- 劇症の血管炎にはステロイドパルスを行う施設もある。
- 維持期にはプレドニンに加えてシクロフォスファミド1mg/kg/日の内服を併用する。
- P.参照。
- 刺激薬やステロイドといった気管支喘息の治療薬は、心不全急性期の予後を悪くすることはほとんどない。両者の鑑別診断がつかなかったら、両方の治療を開始する。
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admin
平成16年8月5日