こうした患者を発見した場合、まず下顎前方引出し法による気道確保(図2) を行うことが勧められている。頸椎に与える負担が小さく、マスク換気がすぐにできるからである。
頸椎損傷の恐れが無ければ、頭部後屈-下顎挙上による気道の確保を行ってもかまわない。
この操作により舌根を引き上げ、気道を開通させる。
気道の確保を行っても自発呼吸が無い場合、人工呼吸が行われる。
特に病院内で施行する際、口対口の人工呼吸は感染の危険が大きく、あまり勧められない。 院内であればどこでもアンビューバッグがあるため、こちらを用いた換気を施行するほうが理にかなっている。
アンビューバッグとマスクを用いて換気を行う際に大事なのは、マスクと顔面の密着を図ることと同時に、 気道をしっかりと確保することである。マスクの保持と同時に気道を確保するのは意外に難しい。
基本は写真4のとおりであり、片手で下顎引き出し法を行いつつマスクを保持する。
手の小さな人では両方をいっぺんにやるのは難しく、こうした際には術者の顎を用いてマスクを押さえるか、 マスクの保持とバッグもみを2人で分担するとうまくいく。