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8 胸部異常陰影
8.1.1 ARDS
- 敗血症や外傷などに伴い、重篤な低酸素血症に両胸のスリガラス状陰影を伴う。
- 間質性肺炎とちがい、肺は不均一に冒され、CTでみると正常な肺野と病的な肺野が混在している。
- PaO2/FiO2が200を切った場合で、なおかつ心機能が正常の患者で診断確定。
- 特異的な治療は無い。
- 通常気管内挿管による人工換気が必要。
- 7-10cmH2O程度の高めのPEEPをかけ、最高気道内圧が30cmH2Oを超えないように1回換気量を少なく42設定する。
- CO2の貯留が問題になるが、呼吸回数は20回程度と多めになってもかまわない。
8.1.2 Wegener 肉芽腫
- 上気道と肺の壊死性肉芽腫の生検で確定診断。
- 半月体形成腎炎を伴うことがある。
- C-ANCAは90%の患者で陽性になる。
- 胸部X線上多発性結節性陰影を生じる
- 胸部・副鼻腔CTで肉芽腫による占拠性病変の存在
ステロイドや免疫抑制剤の投与が試みられるが、いずれにしても専門医の診察が必要。
- シクロフォスファミド 2mg/kg、プレドニン1mg/kgの経口投与を行う。
- 両者を漸減しつつ、最低1年は継続する。
8.1.3 サルコイドーシス
- 肺間質影、両側肺門リンパ節腫脹で発見されることが多い。
- 全身症状として発熱、体重減少、疲労・倦怠感。
- 心病変の合併は5%程度にしか過ぎないが、死因のほとんどを占める。
- 診断はツ反の陰性化、血清ACEの高値43、血清リゾチーム高値、ガリウムシンチで肺門リンパ節の集積、皮膚や心筋の生検でのサルコイド結節の証明など。
- 気管支肺胞洗浄液でCD4/CD8細胞比が高くなる。
- 確定診断は生検で非乾酪性類上皮肉芽腫を証明する。
- 自然寛解するケースも多い44ので、無症状の患者は経過観察。
- 多臓器病変例、特に中枢神経障害や心サルコイドーシスを含む場合にステロイド投与を考慮。
- プレドニンを30mg/日程度から開始し、ごくゆっくりと漸減する。
- ガリウムシンチや臨床症状/胸Xpなどの反応は2-4週で得られる。
- 反応があったらプレドニンを減量しつつ、最低でも1年続けてから終了を考慮45する。
8.1.4 過敏性肺臓炎
- 症状は発熱、咳、呼吸困難。
- 胸部X線におけるびまん性スリガラス陰影。
- 血液検査上は赤沈亢進、白血球増多、CRP陽性など。
- 気管支肺胞洗浄液において活性化T細胞の増加とCD4/CD8比の低下がみられる。
- 軽症例では入院のみで改善する。
- 薬物治療はステロイドの全身投与。プレドニン30-40mg/日から開始し、症状を見ながら漸減する。
8.1.5 肺胞出血症候群
- 喀血、胸Xp上の肺胞浸潤、呼吸困難、貧血を主訴に来院。
- 血管炎、グッドパスチャー症候群に合併して発症。
- 予後は極めて悪く、他の喀血疾患とは経過が全く異なる。
- 低酸素血症と貧血が急速に進むので、家族への最初の説明が重要。
- 血漿交換を2週間連日で行うとともに、シクロフォスファミド2mg/kgの投与、プレドニン7-15mg/kgの投与をそれぞれ開始し、以後漸減46する。
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admin
平成16年8月5日