挿管をするときには、胃内容物の逆流、歯の欠損、喉頭の損傷などが起こりうる。特になれていない人間が行なうと、なおさらである。更に気管内挿管を行なうことで、致命的な不整脈や血圧の低下が起こりうる。 更に挿管に手間取ると、胃内容物の逆流、痙攣、心停止を引き起こす。
挿管チューブの位置が悪ければ、圧損傷や気胸、胸郭の損傷、皮下気腫などを生じうる。
誤嚥性肺炎は、多くは常在菌や胃内容物の吸引により生じるとされ、約21%の人工呼吸器患者に生じる。 また経鼻挿管を行なった場合の副鼻腔炎の合併は、5〜25%とされている。
恐らくは、気管内挿管患者の最も大きな問題は、上気道の機能が全く使えなくなることであろう。 これには会話や摂食も含まれる。患者は会話などのコミュニケーションができないために苛つき、 しばしばセデーションが必要となる。またこのことは同時に、ウイーニングをはかるときにも問題となってくる。
更に、気管内吸引はそれ自体が気管を刺激し、気道内分泌物を増やし、更なる吸引を要求する。
抜管した後も気道の狭窄、喉の痛み、痰の増加などはしばしば経験されることである。更に、 挿管するということは集中治療室の在室日数を長引かせ、ウイーニングも必要なためにコストの増大をまねく。
更に呼吸器は簡便4.1であり、気管内挿管に比べてコストも安くなる。 また集中治療室が最も安全であるとはいえ、 マスクによる換気は十分な看護があれば、一般病棟で行なうことも可能である。
集中治療室のベッドを空けておくことができれば、何かの事態での対応も早くすることができる。 こうした理由から、非侵襲的人工換気は広く用いられるようになり、また気管内挿管に比べて新たに良い点も見つかりつつある。