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: 4.2 急性呼吸不全の理論的背景 : 4. 急性呼吸不全と非侵襲的陽圧換気 : 4. 急性呼吸不全と非侵襲的陽圧換気   目次


4.1 歴史的経過

4.1.0.1 200年近く前から考えはあった

非侵襲的換気を急性期に用いることは、決して新しいことではない。すでに18世紀には、今と同じような非侵襲的換気の報告があった。しかしその成功例については、陰圧式呼吸器の登場まで待たなくてはいけない。

最初のタンク式呼吸器、または鉄の肺が登場したのは1832年だった。 これらの呼吸器はポリオの流行とともに1940年から50年代にかけて一気に普及し、急性呼吸不全にも使われるようになった。

陰圧式呼吸器の改良が進む一方で、気管切開と陽圧式の呼吸器による治療のほうが、 陰圧式呼吸器を用いるよりも効果の高いことが発表されるようになり、ついには陰圧式呼吸器はすたれ、 気管内挿管と陽圧式の人工呼吸器が治療の標準となってきた。

慢性呼吸不全の患者では、陰圧式呼吸器はまだ一般的に用いられていたが、患者の不快感、呼吸器の移動が難しい点、 そして上気道の閉塞による夜間の無呼吸などが問題となり、数が減ってきている。

陰圧式呼吸器がすたれ始めるのと同じ頃から、気管内挿管による合併症もまた問題となってきた。 このため、新しい形式の呼吸器が求め始められてきた。まず1980年になり、優秀なCPAPマスクが登場し、注目された。

研究者はすぐにこれに注目し、陽圧式の呼吸器をマスクにつなぐことを考え始めた。 その結果慢性呼吸不全の治療に効果があることが分かり、現在急性呼吸不全の治療に、マスクによる陽圧換気が用いられ始めている。


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admin 平成16年11月12日