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: 2.3 呼吸器の選択
: 2. 非侵襲的陽圧換気〜道具と実践
: 2.1 呼吸器の分類
目次
侵襲的なことを行なわずに人工呼吸を行う試みは、いかに顔面にあったマスクを作れるかという部分にかかっていた。
しっかりした換気を行なうには、患者の口または鼻、あるいは両者を空気漏れのないように覆う必要がある。
いまのところ市販されているものでは、大きく鼻マスク、鼻ー口マスク、鼻ピロウ、マウスピースの4つがある。
鼻マスクは今のところ、最も広く用いられている道具である。これらには市販されているものもあれば、
患者にあわせて作っているところもある。
鼻マスクは外側のクッションと内側の部分とからできており、内側の部分が空気圧で患者に密着するようになっている。
この内側の部分がないと、空気圧でマスクは患者から離れていってしまう。マスクが体に合わない人のために、
自分にあったマスクを作るためのキットも市販されている。
ある種の人は口からの空気漏れが多く、鼻マスクでは対応できない。
過去の研究ではほとんどの人が鼻マスクで十分に対応できていたが、
そうでない人には口を開かないようにするストラップ(図2.7)が有効であったとされる。
鼻マスクのフィッティングについては諸説あり、かつてはマスクの形は鼻の側壁の線に一致しているべきであり、
マスクの頂上は鼻の2/3以上上に行ってはいけない、と教えていた。
現在では、これよりももう一廻り、大きいもの2.11を推薦する人が多い。
マスクが上に上がりすぎると、マスクから目の方向に空気漏れが生じる。空気漏れを完全に防ぐことは無理であるが、
形の適切なマスクを選ぶことで、漏れを最少にすることはできる。
マスクのサイズの次に重要なことは、決してストラップを強くしめすぎないことである。
強くしめすぎると顔面に皮膚を損傷し、特に鼻を痛める(図2.3)。マスクは密着しているべきではあるが、
強くついている必要はない。
図 2.3:
鼻マスクでできた、顔面褥瘡。3日つけるとでき始める。
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鼻ー口マスクは鼻の頂上から下顎までを覆うものではあるが、一般には吐物の確認などが必要なために、
透明なものをもちいるべきである。
あご周辺の空気漏れは、どうしても多くなる。また鼻周囲からの空気漏れは目にあたり、
患者をいらつかせるので気をつけなくてはいけない。
フルフェイスマスクは一般に鼻マスクよりも強い力で密着させる必要があるため、顔面の潰瘍や、ストラップによる皮膚損傷に注意を要する。
一方、誰にでも用いることができ、口呼吸の頻度の多い急性期の患者にも例外なく使えることから、救急外来での非侵襲的呼吸
の開始時に、好んで用いられるようになってきた。近年、フルフェイスマスクの考えを応用した、全顔面マスクとでも
呼ぶような代物も発売されてきている2.12。
図 2.5:
透明な面のようなマスク。急性期の認容性は、従来より高いという。
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これも市販のものと、患者用に特注するものがある。
市販のものは口唇を塞ぐシールとストラップが一体になったものであるが、個人用に作ったものは患者の口にあわせて作られるため、
ストラップを必要とせず、夜間も使うことができる。
図 2.6:
リップシールつきのマウスピース。左は鼻栓。
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鼻ピロウは一般に、鼻マスクの代わりに用いられる(図2.7)。これは小さなゴム製の筒を両方の鼻に差し込み、固定するもので、
この器具にも口が開くのを防ぐストラップが使われることがある。ある種の患者はこちらのほうを鼻マスクよりも好み、
また顔面潰瘍を防ぐために、夜間のみ用いる人もいる。
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admin
平成16年11月12日