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2.1 呼吸器の分類

非侵襲的陽圧換気を行なうには、さまざまな方法がある。人工呼吸器を大きく分けると、 集中治療室で使われる呼吸器、携帯型の従圧式呼吸器2.1、 携帯型の従量式呼吸器の3つに分けられる。

また、患者の顔と呼吸器をつなぐ道具にも、フルフェイスマスク、鼻マスク、マウスピース、そして鼻ピロウがある。 ここではこれらの器具の使い方、問題点について述べる。

2.1.1 集中治療室で用いる呼吸器

2.1.1.1 急性期の代表的な方法

最近の第3世代の人工呼吸器2.2であれば、非侵襲的な人工換気はこれらを用いて行なうことができる(これらの呼吸器にマスクをつけ、患者に用いる)。

これらの呼吸器は、携帯式の簡単なものに比べてアラームがしっかりしており、 呼吸のモニター機能が充実していたりして、利点は大きい2.3

更に、多くの呼吸器にはバックアップ呼吸機能2.4がついている。

今は、BiPAPビジョンという、このために作られたような呼吸器2.5がある。

2.1.2 携帯型従量式呼吸器

2.1.2.1 長時間持つが欠点も多い

歴史的には、家庭で使われていた呼吸器は小さな従量式呼吸器2.6であった。

これらの機械は、もともと気管切開のある人のために作られていたが、非侵襲的陽圧換気にも応用できる。

こうした機械は小さく、また充電式のものが多い。この型の呼吸器を用いることで、 患者は数時間なら車椅子で外に出ることもできる。

呼吸器には供給酸素濃度を設定する機能はなく、酸素は途中から加える。このために1回換気量が変化すると、供給酸素濃度も変化してしまう。またアラームのついていない機種も多い。

これらの機械の最大の欠点は、自発呼吸がある患者では、患者の呼吸努力を増やしてしまうことである。

患者が呼吸するためには、自分で呼吸器を作動させるために2〜4cnH2Oの陰圧を作らなくてはいけない。

2.1.2.2 PEEPはかけにくい

またPEEP機能はついておらず、必要なら専用の部品が必要となる。こうした機械にPEEPをかけると、 患者の呼吸努力が極めて大きくなってしまうことがあるため、 トリガー圧はPEEP圧の1センチ下ぐらいにしておかなくてはいけない。

2.1.3 携帯型従圧式呼吸器

2.1.3.1 現在の非侵襲的換気の主流

非侵襲的人工換気が増えてくるにつれて、主流になってきた2.7ものである。

多くのものは非常に安価であり、また非常に軽量である。バッテリーを内蔵しているものは少なく、 アラームを持っているものも少ないか、オプションとなっている。

ほとんどの機種は2段階の圧が設定でき、それぞれIPAP(吸気時)、EPAP(呼気時)と呼ばれる。言い換えれば、 ほとんどの機種はCPAPとプレッシャーサポートが設定できる。

これらの呼吸器はその構造上、患者の呼吸努力が非常に少なくてすむ。 機種により性能は異なって2.8おり、 ある種のものは吸気時すぐに設定圧に達するが、吸気終末になってやっとその圧に達するものもある。

2.1.3.2 低酸素が問題になる患者では使いにくい

これらの呼吸器での酸素の付加は、難しい。高濃度酸素を送れるような機種は、今のところ存在しない。 酸素は途中から、あるいはマスクの中に直接入れられるが、機械の構造上正確な酸素濃度を計るのは不可能である。 我々の経験では、どの機械でも40%以上の酸素濃度を造り出すのは不可能2.9であった。

またこうした呼吸器は呼吸回路が1本しかなく、患者の吐いた空気は外に放出される。もしもEPAPが十分でないと、 患者の呼出した空気は回路を逆流し、二酸化炭素を再呼吸する可能性があることに注意すべきである。 PEEPを4センチ以上かけるか、 または呼気を再呼吸しないような弁2.10をつけてやればこの問題は解決する。


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admin 平成16年11月12日