心電図はP、QRS、Tの各波からなる。P波は心房の興奮を、QRS波は心室の興奮を、 T波は心室の充電期を示す(図)。
患者に初めて心電図モニターを施行した際には、 QRS波形の異常や、頻脈や徐脈が無いかどうか5を見る以外に、 ST部分の変化、そしてQT時間の変化に注意してほしい。
心臓のどこかに虚血があった場合、心電図上のST部分は変化する。
ST上昇の代表を図に示すが、STが上昇していた場合は、まずすべてが病的と考えて良い。
心電図では、頻脈になるだけでSTの低下が見られるため、病的なものと生理的なものとの鑑別が難しい。
これらを簡単に区別する方法として、放物線の仮説と呼ばれているものがある。
これは、生理的なSTの低下がP波とT波との間に放物線を描けるのに対して、 病的なSTの低下は放物線が崩れる、というものである(図)。
QT時間中に心室性期外収縮が入ると、Vfに移行する(図)確率が高い。
心室性期外収縮で、R on Tが危ない、というのも大体同じことを言っている。
モニター上QTが延長しているということは、それだけ危険が大きいということで、要注意である。 代表的なQT延長の心電図を示す(図)。
特に、虚血性心疾患の治療後の患者や、原因不明の失神を生じた患者が入院した際には注意が必要。