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: 4 患者急変時のモニター波形 : モニター心電図の解釈 : 2 モニターの施行方法   目次


3 心電図の基本

3.1 心電図の各波形の名称

心電図はP、QRS、Tの各波からなる。P波は心房の興奮を、QRS波は心室の興奮を、 T波は心室の充電期を示す(図[*])。

図: 心電図の各波形の名称
\includegraphics[width=.6\linewidth]{hakei.eps}

患者に初めて心電図モニターを施行した際には、 QRS波形の異常や、頻脈や徐脈が無いかどうか5を見る以外に、 ST部分の変化、そしてQT時間の変化に注意してほしい。

3.2 ST変化

3.2.0.1 ST上昇

心臓のどこかに虚血があった場合、心電図上のST部分は変化する。

ST上昇の代表を図[*]に示すが、STが上昇していた場合は、まずすべてが病的と考えて良い。

図: 心筋梗塞のモニター波形
\includegraphics[width=.8\linewidth]{stelev.eps}

3.2.0.2 ST低下

問題となるのがSTの低下である(図[*])。

図: ST低下
\includegraphics[width=.7\linewidth]{angina.eps}

心電図では、頻脈になるだけでSTの低下が見られるため、病的なものと生理的なものとの鑑別が難しい。

これらを簡単に区別する方法として、放物線の仮説と呼ばれているものがある。

これは、生理的なSTの低下がP波とT波との間に放物線を描けるのに対して、 病的なSTの低下は放物線が崩れる、というものである(図[*])。

図: 放物線の仮説。Aは正常、Bは異常なST低下
\includegraphics[width=.4\linewidth]{houbutu.eps}

3.3 QT時間

QT時間中に心室性期外収縮が入ると、Vfに移行する(図[*])確率が高い。

心室性期外収縮で、R on Tが危ない、というのも大体同じことを言っている。

図: QT延長の患者が心室細動になる瞬間
\includegraphics[width=.8\linewidth]{lqt2vf.eps}

QT時間は図[*]のように測定するが、

図: QT時間の測り方
\includegraphics[width=.6\linewidth]{qt.eps}

モニター上QTが延長しているということは、それだけ危険が大きいということで、要注意である。 代表的なQT延長の心電図を示す(図[*])。

図: QT延長症候群の心電図
\includegraphics[width=.6\linewidth]{l_qt.eps}

特に、虚血性心疾患の治療後の患者や、原因不明の失神を生じた患者が入院した際には注意が必要。


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admin 平成16年11月12日