next up previous contents ホームページに戻る
: 2.17 不隠 : 2. 症状別の対処法 : 2.15 腹痛   目次


2.16 気分が悪い

79歳の女性。一人暮しで、病院嫌いであった。 ここ2ヶ月ほどひどい腰痛があり、一人では買い物にも行けない状態であったものの病院には来なかった。

近所の開業医の往診を受け、貧血がひどいので詳しい検査を受けるように言われたが、無視しているという。

本日になり、昨夜から吐きどおしである、ということで救急搬送。救急車からおりるなり、"ここにだけは来たくなかった" という。

"じゃあ、帰れよ"と内心思ったが、点滴と採血を施行。そのときはHbが6台と低下している以外に 大きな異常は無いと考えたため、帰宅。

しばらくしてやはり食べられないということで、再来。後から血液検査を見直すとTP10.2、alb2.8であり、この時点で多発性骨髄腫を疑うべきであった。



入院後、化学療法が施行されたが、原疾患の進行で患者さんは亡くなった。身内もいなかったため、トラブルにはならずに済んだ。 当院の生化スクリーニングの項目にはCaが入っておらず、最初の採血で病名を思いつけなかった。

2.16.1 鑑別疾患

非常に漠然とした主訴だが、見逃すと怖いものがいくつかある。

まず思いつくのは胃腸系、頭蓋内疾患であろうが、それ以外の内分泌的な原因を頭に入れておくこと。

2.16.2 検査について

本人の重篤感、病歴から詳しい検査をするかどうか決める。比較的症状が長く(3日以上)続いていたら、 胃腸症状で済ませずに、一度採血をするように。

採血はCK、生化スクリーニング(chol、Caも)、CRPをとる。肝機能が3桁になっていたり、 WBCが3万になっている症例、CRPが15ある症例を見逃すことは、さすがに無いだろう。

逆に、血液生化学検査で見逃しやすいもので、危険なものは以下の3つぐらいしかない。

副腎不全
低Na、低血糖、高K(全てわずかな変化)、白血球減少と好酸球増多
甲状腺機能低下
高脂血症とCK上昇
多発性骨髄腫
TPの10以上の上昇と、Albの低下2.19

わけのわからない人に採血を取った場合、とりあえずこの3つが無いかどうかを、まず考える習慣をつけておくとよい。

下痢が続いているようなケースであっても、水様便が3から4日も続いているようだと、腎前性の腎不全を呈していることがある。


next up previous contents ホームページに戻る
: 2.17 不隠 : 2. 症状別の対処法 : 2.15 腹痛   目次
admin 平成16年11月12日