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2.11 痙攣発作

26歳の痩せ型の女性。最近、立ちくらみが多いということで来院。家族の話ではここ2年ほど引きこもっており、 自宅で急に床に倒れることがよくあったという。バイタルは正常。心拍数も50台であった。

救急外来から家族が出て行こうとすると、いきなり目の前で全身の痙攣を生じて倒れた。 こちらは完全に精神疾患と決めつけてしまっており、"いいかげんにしなさい!"と近寄ってみると、脈が触れない。

心電図モニターをつけると、心室細動になっていた。その後どうしたか、よく覚えていない。



研修医の脳波もVfになっていたのだろう。救急外来ナースが気を利かせてくれ、すぐに循環器のスタッフが除細動を行い、 後遺症無く心拍は再開した。心電図は著明なQT延長を生じており、偏食から生じた低Mg血症が原因であった。

2.11.1 対処

けいれん発作が自然におさまればいいが、現在痙攣が続いている場合は以下のように対処。

  1. まずは、何も考えずにO2 10lマスクの指示。心電図モニターをつける。
  2. 心臓が動いていることを確認したら、抑えつけてラインキープ、セルシン1Aをワンショットで静注。
  3. ホリゾンは、とりあえず痙攣が収まるまでいくつも使って可。呼吸が止まっても、挿管すれば良い。
  4. 痙攣がとまったら、すぐにワークアップに入る。
  5. CTなどに下りる場合、シリンジにセルシンを吸って携帯していくこと。

まだ一人しか見たことがないが、全身の脱力を伴う意識障害で、呼吸も保たれていた症例が、 結局のところてんかん発作だった症例がある。"痙攣"を生じていなくても、てんかんは100%は否定できない。

2.11.2 鑑別診断

どんな痙攣であれ、原因のはっきりしない初発の痙攣発作は血液検査一式、心電図モニター、頭部CT、 腰椎穿刺を行う、と思ったほうが安全かもしれない。何よりも、入院の絶対適応である。

2.11.3 検査

痙攣が落ち着いているのが、大前提。

  1. 血液ガス、採血(電解質、Mg、Caも)
  2. 頭CT(単純で可)
  3. 初発の痙攣で、出血などが無かったら腰椎穿刺

2.11.4 治療

症例は心室細動だが、以下は心原性のもの2.13が除外診断された後の話。

基本的には、セルシン静注で痙攣を止めたら、アレビアチンを開始。初回は500mg、以後1日一回250mgを静注で用いる。 静注速度は1分間に50mg以内。

痙攣が重積化した場合はドルミカムの持続を考慮。ドルミカム5A+生食40を5ml/h程度から開始。呼吸停止必発なので、 ICU管理が必要。


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admin 平成16年11月12日