26歳の痩せ型の女性。最近、立ちくらみが多いということで来院。家族の話ではここ2年ほど引きこもっており、 自宅で急に床に倒れることがよくあったという。バイタルは正常。心拍数も50台であった。
救急外来から家族が出て行こうとすると、いきなり目の前で全身の痙攣を生じて倒れた。 こちらは完全に精神疾患と決めつけてしまっており、"いいかげんにしなさい!"と近寄ってみると、脈が触れない。
心電図モニターをつけると、心室細動になっていた。その後どうしたか、よく覚えていない。
研修医の脳波もVfになっていたのだろう。救急外来ナースが気を利かせてくれ、すぐに循環器のスタッフが除細動を行い、 後遺症無く心拍は再開した。心電図は著明なQT延長を生じており、偏食から生じた低Mg血症が原因であった。
けいれん発作が自然におさまればいいが、現在痙攣が続いている場合は以下のように対処。
どんな痙攣であれ、原因のはっきりしない初発の痙攣発作は血液検査一式、心電図モニター、頭部CT、 腰椎穿刺を行う、と思ったほうが安全かもしれない。何よりも、入院の絶対適応である。
痙攣が落ち着いているのが、大前提。
基本的には、セルシン静注で痙攣を止めたら、アレビアチンを開始。初回は500mg、以後1日一回250mgを静注で用いる。 静注速度は1分間に50mg以内。
痙攣が重積化した場合はドルミカムの持続を考慮。ドルミカム5A+生食40を5ml/h程度から開始。呼吸停止必発なので、 ICU管理が必要。