COPDの増悪にて入院。ICUで気管内挿管中。回復傾向であり、翌日抜管を計画していた矢先、 急に血圧が50台に低下したということでコールがあった。
輸液にも、カテコラミンにも反応がなく、心エコーと胸部単純写真をオーダーする間にも血圧は低下、徐脈になった。
チームの下級生が聴診し、"緊張性気胸じゃないですか"と指摘したら、果たしてそのとおり。チェストチューブを挿入したら 何事も無かったかのように落ち着いた。
自分の聴診技術に自身が無かったので、下級生にも"聴診所見なんて、今は意味は薄いんだよ" などと教えられていた矢先の出来事だった。
下級生の機転に助けられたが、自分の自尊心はかなり傷ついた。
まずはその患者さんにおいて、低血圧が問題となっているのか、元から低いのかを評価する。
血圧が低いことが問題となっている患者さんを診た場合、まずは末梢ラインから生食、あるいはラクテックを全開で落とす。半分ほどが入っても血圧、あるいは症状の回復がない場合は、
を開始する。これで時間を稼ぎ、この間にショックの原因を考える。
これだけは、最低限考えるように。上3つは1時間ぐらいでだんだんと血圧が下がり、下3つはいきなりショックになる。
病歴から、さっきまで元気だった人が突然ショックになったのか、もともと生きが悪い人が血圧低下を生じたのかをまず確認。
検査としては、組織の灌流傷害の程度を評価するために、血液ガス(アシドーシスを見る)は必須。 できれば心エコー2.8も早期に行いたい。
鑑別診断を行うためにはさらに、胸部単純写真や心電図などを評価。出血性ショックが疑われるなら、胃洗浄、直腸診も。 採血も、敗血症のルールアウトには役に立つ。出血やAAAを疑うなら、腹部エコーとCTを考慮。
ERでショックの患者さんを診た場合、ショックの回復がない状態でERを出てはいけない2.9。 検査手技でショックが直ることはないので、CTを施行するとき以外は、外に患者さんを出さないように2.10。
こうした患者においては
を考え、ワークアップすること。血圧低下が来たら、すぐに胸部単純写真をオーダーする。教科書的には、聴診上緊張性気胸が疑われたら、迷わず前胸部にエラスター針を刺すよう教えている。
実際に、"迷わずに"それが出来るレジデントがいたら、是非会ってみたいものだ。自分には、その勇気は無い。
以下の3つだけで良い。
低用量では血圧はむしろ減少し、血管拡張作用がある。5〜7以上で用いると末梢血管収縮、強心作用を介して血圧が上昇する。