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: 2.8 ショック状態
: 2. 症状別の対処法
: 2.6 とにかく、状態が悪い
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38歳女性。以前から血圧は高いことがあったという。本日頭痛があり、
自宅で測った血圧が180あったということで、救急搬送。
救急外来でアダラートを舌下させたところ、血圧は120台に低下。ところが今度は胸痛を訴えだし、心電図を取ると
STの上昇があった。CAGを行ったところ、やはり心筋梗塞。循環器内科のスタッフから、大目玉を食った。
幸い、アダラート舌下は比較的禁忌、などということは一般の人は知らず、
"心筋梗塞の前兆だったんですね〜。早く見つかってよかったですね"などとごまかし、無事に退院していただいた。
- 拡張期血圧が130mmHg以上
- 高血圧性脳症(意識障害、頭痛、悪心、嘔吐、局所神経症状)
- 解離性大動脈瘤
- 動脈瘤切迫破裂
- 脳出血
- 進行する腎不全に伴う高血圧
- 心不全
これだけ。後は、緊急に血圧を下げる適応にはならない。一晩ぐらいなら、放置しても問題にはならない。
古くから行われていることではあるが、今では原則禁忌の手技。
血圧の下げ幅の制御が出来ないこと、
本当の緊急を要する高血圧には効果が薄いこと、心筋虚血を招き、心筋梗塞の合併が多数報告されていることなどから。
- 緊急性の評価。意識障害や吐き気、麻痺の有無、胸痛や息苦しさが無いかどうか、以前の血液データで、腎機能が悪くないかどうか。
- 緊急性がありそうなら上級医をコール。シリンジポンプを用意しておく。
- 緊急性がなさそうなら、基本的には放置でかまわない。ただし降圧薬を飲んでいる患者であるならば、増量を考慮する。
- 痛みや、何らかの苦痛による高血圧であるならば、その解除(頭痛薬など)が先。
- もし高血圧性緊急症を疑うなら、ICU管理になる可能性が極めて高い。確定診断(胸部単純写真、血液ガス、CTなど)を急ぐこと。
緊急を要する場合の、現在推薦されている降圧薬は以下のとおり。
- ニトロール原液;1/2Aの静注で、血圧は20前後下がる。
- ミリスロール原液;2〜3ml/hから開始。
- ペルジピン;小さな方のアンプル(2mg)を1/2Aずつ静注。血圧は20前後下がる。
- ペルジピン10mg+5%glu90mlを3ml/hより開始。最大18ml/hぐらいまで使用。
- ヘルベッサー注100mg(2A)+5%glu100mlを5ml/hより開始。最大15ml/h程度。
亜硝酸剤は虚血性心疾患や心不全に、ペルジピンは脳疾患に、ヘルベッサーは大動脈瘤にそれぞれ用いる。必ず上級生と一緒に。
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admin
平成16年11月12日