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2.7 血圧が高い

38歳女性。以前から血圧は高いことがあったという。本日頭痛があり、 自宅で測った血圧が180あったということで、救急搬送。 救急外来でアダラートを舌下させたところ、血圧は120台に低下。ところが今度は胸痛を訴えだし、心電図を取ると STの上昇があった。CAGを行ったところ、やはり心筋梗塞。循環器内科のスタッフから、大目玉を食った。



幸い、アダラート舌下は比較的禁忌、などということは一般の人は知らず、 "心筋梗塞の前兆だったんですね〜。早く見つかってよかったですね"などとごまかし、無事に退院していただいた。

2.7.1 高血圧性緊急症

これだけ。後は、緊急に血圧を下げる適応にはならない。一晩ぐらいなら、放置しても問題にはならない。

2.7.2 アダラート舌下について

古くから行われていることではあるが、今では原則禁忌の手技。

血圧の下げ幅の制御が出来ないこと、 本当の緊急を要する高血圧には効果が薄いこと、心筋虚血を招き、心筋梗塞の合併が多数報告されていることなどから。

2.7.3 高血圧の対応の方法

  1. 緊急性の評価。意識障害や吐き気、麻痺の有無、胸痛や息苦しさが無いかどうか、以前の血液データで、腎機能が悪くないかどうか。
  2. 緊急性がありそうなら上級医をコール。シリンジポンプを用意しておく。
  3. 緊急性がなさそうなら、基本的には放置でかまわない。ただし降圧薬を飲んでいる患者であるならば、増量を考慮する。
  4. 痛みや、何らかの苦痛による高血圧であるならば、その解除(頭痛薬など)が先。
  5. もし高血圧性緊急症を疑うなら、ICU管理になる可能性が極めて高い。確定診断(胸部単純写真、血液ガス、CTなど)を急ぐこと。

緊急を要する場合の、現在推薦されている降圧薬は以下のとおり。

亜硝酸剤は虚血性心疾患や心不全に、ペルジピンは脳疾患に、ヘルベッサーは大動脈瘤にそれぞれ用いる。必ず上級生と一緒に。


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admin 平成16年11月12日