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: 2.5 SPO2が低い
: 2. 症状別の対処法
: 2.3 発熱
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初診の60歳の女性。10日前からひどい下痢が続き、嘔吐も頻回にあるということで来院。
本日になり呼吸が苦しくなり、動悸もひどくなったという。
SpO2 97。バイタルは安定しているが、呼吸数は30回と上昇。胸部写真も正常。
"高齢者の過換気か?"などとカルテに書いて帰してしまったが、2日後に救急搬送。結局、ケトアシドーシスで初発した糖尿病だった。
入院中に謝り倒したせいか、トラブルにはならなかった。
もしこのとき、患者が入院希望で断っていたら、トラブルを生じていたかもしれない。
以後、入院希望症例は全例採血してから判断している。上司からは"馬鹿"といわれているが、
以降は同じ落とし穴にはハマっていない。
- 酸素濃度の低下するもの
- 酸素濃度の低下しないもの
- 胸水貯留
- 貧血
- 喘息、COPD
- 強膜炎、肋骨の痛みを呈する疾患
- アシドーシスを生じる疾患
呼吸困難感は、PaO2が低下した場合か、肺胞の拡がり方と胸郭筋の仕事量の乖離を生じた場合、
アシドーシスが進行した場合に認識されるといわれている。
SPO2が正常だからといって、呼吸困難感を患者の心の問題と決めつけてはいけない。
"データは正常だから、大丈夫です!"などと患者を叱ってしまい、後からトラブルになるケースは多い。
- 酸素飽和度がいくつであっても、まずは酸素投与を開始する。
- バイタルが不安定であったり、重篤感のやけに強い場合には、とにかく人を集めておく。挿管になる可能性もある。
- パルスオキシメーターだけではなく、必ず血液ガスを取る。あえてルームエアーで採血する必要はまったく無い。
- 気胸と無気肺を念頭に置きながら、聴診。左右差が無いかどうか、喘鳴が無いかどうか。
- 胸部単純写真をポータブルでオーダー。これで気胸と無気肺、胸水は分かる。
- 患者が発熱していたり、原因の明らかな痛みを訴えていた場合にはすぐにそれを取り除く2.5。
- 採血は、急性期の診断にはあまり役に立たない。患者に発熱があったり、写真で異常な陰影があった場合は参考になるが。
とにかく、低酸素血症を見逃すことが一番怖いので、原因がはっきりするまでは酸素ははずさないこと。
呼吸困難の原因がはっきりするか、症状が落ち着くまでは、ベッドサイドを離れてはいけない。
入院中の患者であれば、"原因のはっきりしない呼吸苦"ということで、ICUにおろし2.6てしまえば、当直医は安眠できる。
原因のはっきりしない呼吸困難では、以下のような落とし穴に注意。
- CTでないと分からない無気肺、気胸がある。原因が分からない重篤な呼吸困難は、夜間でも胸部単純CTを撮るべきであろう。
- たとえ軽い疾患が疑われても、患者の呼吸苦が取れる前に"大丈夫だから"と突き放してはいけない。トラブルになる。
- まれだろうが、心筋梗塞、解離性大動脈瘤の患者が"呼吸困難"を主訴に来院したことがある。
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admin
平成16年11月12日