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7.6 介助による方法

7.6.1 体位ドレナージ、パーカッション

肺理学療法は、アメリカでは伝統的な手法であった。そして現在でも、 この方法は喀痰排出の最も効果的な方法の一つと認識されている。

図 7.3: さまざまな体位ドレナージの例

\includegraphics[width=.8\linewidth]{position2.eps}

この方法は、基本的には解剖学的に重力に従って痰を誘導しやすい体位に患者を置き、 それにパーカッションやバイブレーションを加える。更に、こうした行為に加え、患者に咳をしてもらうのも一般的に行なわれ、 効果を上げている。

体位ドレナージに要する時間は病気により様々だが、嚢胞性線維症のように痰の量の多い疾患では、 一つの体位当たり3〜10分が一般的である。

ドレナージの手技自体は1979年頃より理論化されてきたが、 体位ドレナージに加えてパーカッションやバイブレーションを行なうことは、 必ずしも全ての疾患で有効ではないことが分かってきた。

図 7.4: 体位ドレナージにバイブレーションを併用した例

\includegraphics[width=.5\linewidth]{percus.eps}

7.6.1.1 全例で有効なものではない

肺理学療法はある種の疾患では極めて有効であるが、そうでないときには手技の間に低酸素血症を生じるのみとなる。

幼児の肺疾患のように、術者が完全に体位をコントロールできる場合や、 問題となっている肺が肺全体ではなく、一部に限られている場合には体位ドレナージが有効であると思われる。

一方でわがままな患者や、子供では体位に耐えることができず、この治療はやりにくい。 また腹部の圧迫感や、筋肉の痛みももしばしばこの治療を不可能にする。

7.6.2 用手的な咳の補助

7.6.2.1 簡便で効果的な方法

患者が咳を呼出する瞬間に、患者の腹部を押し込むことで、咳の効率を上げることができる。

この方法を行なうときには、肺活量の小さな患者の場合には、いつもより多くの空気を吸い込む必要がある。 またこの方法は、胸郭の変形のある人には行ないにくい。

方法自体は簡単であり、通常一回教えるだけで、家族にも行なうことができる。


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admin 平成16年11月12日