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: 7.6 介助による方法 : 7. 非侵襲的な気道分泌物の管理 : 7.4 気道清浄化の方法   目次


7.5 患者が自分で行なう方法

7.5.1 咳の重要性

咳の重要性は先にも述べたように、疑いようのないものである。

1979年に、オールデンバーグらは気管支拡張症の患者に体位ドレナージと咳とを組み合わせ、痰の排出の効率を評価した。

この結果、咳を行なうことで、末梢から中枢部に至るまでの痰の排出が促されたのに対し、 体位ドレナージのみでは喀痰の排出は促されないことが分かった。 彼らは効果的な咳を患者に行なわせる方法を考えなくてはいけないと結論している。

7.5.1.1 頻回の咳は理学療法の代わりになりうる

ベックとジンナンらは、やはり肺理学療法のみと咳との組み合わせについて論じているが、 咳を行わせることで、嚢胞性線維症の患者では、一回換気量が最大50%も増えたと報告した。 彼らは肺理学療法を行なえないときの手軽な代わりの方法として、頻回の咳を行なうことを推薦している。

しかし一方で、効果的ではない咳は痰の排出を行なえず、呼吸筋の疲労を招き、低酸素血症を生じる。 このため不十分な咳しかできない患者には、咳の補助を行なう必要がある。

7.5.2 強制呼気法

患者の咳を補助する方法は大きな可能性を持っている。

前にも述べたが、気道の不安定な人は、たとえ咳をしても気道が潰れてしまい、 十分に咳の効果を期待できない。例えば、気管支拡張症や嚢胞性線維症の患者である。

こうした患者の場合、強制呼気法がうまくいくことがある。これは中等度から少量の空気を吸った状態から、 咳を行なわずに一気に空気を吐き出す(ハッ!ハッ!という呼吸)ことで、この時に自分で自分の胸を圧迫すると、 なお効果的である。

こうすることで気道の安定性を保ったまま、痰の排出を促すことができる。ハフィングという。

7.5.3 能動的呼吸法

プリオラらは1992年、強制呼気法を更に改良し、能動的呼吸と名付けた。強制呼気法は、 常にハフィングと対になって行なうべきであるが、これが広まるにつれて、 この方法が咳の一種であることが忘れられてしまった。

このため彼らは、強制呼気法を一種の呼吸法として、もう一度体系化した。

これは以下の7つの部分よりなる。

  1. リラックスし、静かに呼吸する
  2. 3〜4回、大きく胸を膨らませる(この時に必要なら、パーカッションを加える)
  3. 再びリラックスする
  4. また3〜4回、深呼吸する
  5. 再びリラックスする
  6. 1〜2回、ハフィングを行なう
  7. リラックスする

この方法の特徴は、強制呼気法の効果を得る一方で、酸素化にも配慮している点である。 この方法についての臨床研究は行なわれていないが、他の喀痰排出法に比べて遜色ない結果が得られるとされる。

7.5.4 自発的ドレナージ

7.5.4.1 3種類の呼吸を使い分ける

これはベルギーで始まった方法で、特別な道具なしで、患者をトレーニングするものである。 患者は小さな息、中等度の息、大きな息の3種の一回換気量の呼吸を一定時間ずつ繰り返すよう訓練される。

この方法は小さな息の間に痰を気道から引き剥がし、中等度の息をしている間に痰を中枢気道に集め、 大きな息で痰を喀出するという理論に基づく。この方法は、末梢気道の空気を動かしてやることで、 粘液を一緒に動かすために考えられた。

7.5.4.2 効果はあるらしいが複雑

この方法で嚢胞性線維症の患者を1年訓練したところ、喀痰の排出力が飛躍的に良くなったという報告もあり、 確かな効果を持っている方法であるが、この方法の最大の欠点は患者教育の難しさである。

現在バイオフィードバックの手法を用いるなどしてこの方法の教育法が研究されているが、 うまくいくかどうかは患者個人の性格によるものが大きい。この方法は中等度の重症度までの患者で、 日常生活を営みながら訓練を行なえる人には最適である。


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admin 平成16年11月12日