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1.3 ヘパリンの使いかた
:
1. 血液の問題
:
1.1 貧血
目次
索引
1.2.1 出血傾向の鑑別
1.2.2 血小板減少
1.2.2.1 ITP
1.2.2.1.1 治療
1.2.2.2 TTP
1.2.2.2.1 治療
1.2.2.3 ヘパリン起因性血小板減少
1.2.2.3.1 治療
1.2.3 凝固異常
1.2.3.1 ワーファリン過剰の対処
1.2.3.2 DICの対処
1.2.3.2.1 DICスコア
1.2.3.2.2 治療
1.2.3.3 抗リン脂質抗体症候群
1.2 血が止まらない
1.2.1 出血傾向の鑑別
1.2.2 血小板減少
1.2.2.1 ITP
血小板の機能は正常なので、重篤な出血は少ない。
上気道炎症状に合併し、一過性に経過することもある。
抗血小板関連抗原抗体(PAIgG)が高値となる。
骨髄穿刺で巨大血小板を証明して確定診断。
1.2.2.1.1 治療
血小板数が2-3万以下、出血の合併症のある患者が治療対象。
プレドニン1mg/kgの内服を行う。
出血症状は、血小板数が変化しなくてもプレドニン投与から1日程度で正常化し始める。血小板数は1週間以内に上昇し始め、ほぼ全員に3週間以内に効果が現れる。
免疫グロブリン0.4g/kgを5日間点滴静注。4日目ごろから血小板が上昇し、1ヶ月ほど持つ。
根治的には摘脾術を施行。
1.2.2.2 TTP
血小板減少、溶血性貧血、発熱、腎機能障害などを呈する。
感染や膠原病に合併するが、薬剤ではパナルジンが有名。
LDHは著増する。LDH1000以下ではTTPの可能性は少なくなる。
1.2.2.2.1 治療
血漿交換とFFPが基本。
血漿交換60-80ml/kg/日を診断後3日間連日、その後2-3日に1回ずつ施行し離脱。
血漿交換に併用する形でプレドニン1mg/kgの内服/静注を行う。
ペルサンチンなどの抗血小板薬を補助的に用いることもある。
血小板輸血は血漿交換が回るまでは禁忌。
1.2.2.3 ヘパリン起因性血小板減少
ヘパリン使用中の患者で血小板が減少することがあり、一過性のケースとは別に減少が遷延するケースがある。
このときは血小板減少とともに、全身の血栓傾向を生じる。
ヘパリン使用中の患者に塞栓症状があらわれたら本症を疑い、血液中HIT抗体陽性で確定診断。
1.2.2.3.1 治療
ヘパリンを中止し代替薬に変更
ワーファリンを開始。
ヘパリンを中止、抗トロンビン剤
1.2
の静注を開始。
ワーファリンは服薬当初に血栓を増悪させる可能性があり、他の抗凝固薬無しに単剤で用いてはいけない。
抗トロンビン薬を1日以上使用後にワーファリンの内服を開始、INRが治療域に入ったら抗トロンビン薬を中止しワーファリンを継続する。
1.2.3 凝固異常
1.2.3.1 ワーファリン過剰の対処
表 1.2:
ワーファリン過剰時の処置
状態
処置
4.0-7.0で出血無し
ワーファリンを中止するのみ
7.0以上で出血無し
ワーファリン中止の上、ビタミンK1-2mg経口
4.5以下で出血あり
FFP輸注
2.0以上で重篤な出血
ビタミンK2.5-10mg静注、FFPの静注の併用
出血を生じていない患者で、INRが4-5になってしまった場合はワーファリンの投与を中止。翌日再度INRを測定し、値が減少していたならば減量してワーファリンの投与を再開。
出血を伴っていなくても、INRが5-9になった患者の場合はビタミンKの投与を開始したほうがよい。 1-2.5mg程度のビタミンKを経口投与することで、24-48時間以内にINRを治療域まで下げることが出来る。少量のビタミンKが入手できない場合は、5mg錠を半分に砕いて用いるか、静注用のビタミンK製剤を経口で用いる。
INRが9以上になるような患者は、もっと多い量(2.5-5mg)のビタミンKを使用する。24時間後にINRを再検。
INRが高値の患者が出血を生じた場合は、ビタミンKを用いるとともに、FFPを 15ml/kg
1.3
程度投与する。
1.2.3.2 DICの対処
1.2.3.2.1 DICスコア
血小板数、PT、フィブリノゲン、FDPを測定する。
表 1.3:
厚生省のDICスコア
血小板数(
1000/
l)
50
3点、80
2点、120
1点
PT(秒)(PT比)
1.67
2点、1.25
1点
フィブリノゲン (mg/dl)
100
2点、150
1点
FDP (
g/ml)
40
3点、20
2点、10
1点
臨床病態 症状
基礎疾患、出血症状、臓器症状:1点
DICの診断
7点以上でDIC
1.2.3.2.2 治療
原疾患に対する治療以外に支持療法を行う。
少量ヘパリン
5-15U/Kg/hrの投与を行う。ATI I I濃度が正常の50%以下の場合は、ATI I I製剤を40-60単位/kgを1日1回点滴静注する。
FOY
1-2mg/kg/hrで持続静注。ヘパリンかこちらのどちらかを使用する。
フサン
0.06-0.2mg/kg/hrを24持続。効果はFOYと同じ。
フィブリノーゲン
フィブリノーゲン100mg/dl以上を保つように、新鮮凍結血漿(FFP)で補充する。
1回4単位静注し、以後は測定値を見ながら。
トラネキサム酸
10mg/kgを8時間おきに投与することで、出血を伴ったDICに対しては止血効果が期待できる。
1.2.3.3 抗リン脂質抗体症候群
動脈/静脈の血栓症、原因不明の習慣性流産を生じる。
特にSLEの患者や、若年の患者が血栓塞栓症を生じたときには本疾患を疑う。
抗カルジオリピン抗体、ループスアンチコアグラントを6週間以上あけて2回測定し、両方とも陽性になることを証明する。
塞栓症以外に血小板減少、溶血性貧血などを生じることがある。
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admin 平成16年8月9日