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3.3 針刺し事故
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3. 中毒/感染症
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3.1 中毒
目次
索引
3.2.0.1 免疫不全患者の発熱
3.2.0.2 肺炎
3.2.0.2.1 診断
3.2.0.2.2 治療
3.2.0.3 麻疹
3.2.0.3.1 治療
3.2.0.4 風疹
3.2.0.4.1 治療
3.2.0.5 水痘
3.2.0.5.1 治療
3.2.0.6 伝染性単核球症
3.2.0.6.1 治療
3.2.0.7 全身精査の方法
3.2.0.8 肺結核
3.2.0.8.1 入院までの流れ
3.2.0.8.2 結核予防法
3.2.0.8.3 院内で結核が発生した場合
3.2.0.9 不明熱
3.2 感染症
3.2.0.1 免疫不全患者の発熱
摘脾後
莢膜を持った細菌(肺炎球菌、インフルエンザ桿菌、髄膜炎菌)
骨髄性白血病
グラム陰性桿菌(緑膿菌、クレブシエラ、大腸菌)
化学療法中の発熱
黄色ブドウ球菌、表皮ブ菌、カリニ肺炎
熱傷後患者
表皮ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌
多発性骨髄腫
莢膜を持った細菌、緑膿菌、大腸菌、クレブシエラ
ステロイド使用中
マイコプラズマ、レジオネラ、ノカルジア、カリニ
3.2.0.2 肺炎
3.2.0.2.1 診断
咳嗽、喀痰、発熱、胸部単純写真上の浸潤影。
こうした所見よりも、咳嗽があってCRP上昇があれば肺炎、という診断基準のほうが感度/特異度とも高かったという報告がある。
診断がつかず、感染起炎菌を同定する必要がある場合はBALが試みられる。
肺炎の入院加療の基準
65歳以上
免疫不全患者 癌患者、糖尿病、摘脾後など
意識状態が悪い
血液ガスが悪い
2つ以上の肺葉に病変がある
腎、肝障害の合併
白血球数30000以上か、4000以下
3.2.0.2.2 治療
現在も肺炎球菌が起炎菌として最も頻度が高い。
レジオネラやクラミジア、マイコプラズマなどはこうした細菌感染に重複感染し得る。
肺炎球菌をカバーする抗生物質
3.4
に加えてレジオネラやクラミジアをカバーする抗生物質を併用することが勧められている。
具体的にはロセフィン2g/1X +クラリス400mg/2X、パンスポリン3g/3X+クラリス400mg/2Xの併用
3.5
、クラビット 4T/2Xなどのニューキノロン単剤投与など。
3.2.0.3 麻疹
幼少時に罹患しても、20代を過ぎると免疫が失活し、再発する。
飛沫感染をする。
全身倦怠と発熱、咳、発疹を生じる。
潜伏期は14-21日間。
白血球減少、血小板減少が通常見られる。
3.2.0.3.1 治療
個室隔離が必要。
重症感は強い。
細菌感染の重複感染はよく見られる。
小児では大量のビタミンA
3.6
の内服、成人ではリバビリン20-35mg/kgを7日間静注することで症状が軽減するとされる。
3.2.0.4 風疹
風疹ウイルスの経気道飛沫感染
潜伏期は16日程度。
主症状は淡紅色斑丘疹、関節痛、リンパ節腫脹、発熱。
重症感は薄いが、妊婦の感染が問題になる。
妊娠早期(1-4か月)の妊婦が風疹ウイルスに感染すると、出生する児に難聴、白内障、心疾患などの障害が起こる.発生率は妊娠3か月以内の風疹感染で20%、妊娠5か月までは発生し得る。
3.2.0.4.1 治療
対症療法のみ。
妊娠前の抗体検査を行う。
抗体陰性の妊婦は風疹患者との接触を絶対に避ける。
血清診断の方法は以下のとおり。
風疹感染歴または予防接種の効果の確認:HI法またはEIA(IgG)法で行う。
風疹の血清診断は、発症3日以内とその1-2週後の血清HI抗体価を比較し有意上昇を確認する。
単一血清しか得られないときはIgM抗体陽性により最近の感染を推定できる。
3.2.0.5 水痘
全身に痛みを伴う水泡を生じるので診断は容易。
成人にも発症する。
空気感染するので注意。
3.2.0.5.1 治療
入院するなら個室隔離が必要。
たとえ隔離しても、病棟の空調が共通なら感染が伝播する可能性がある。
ゾビラックスの点滴は、発症3日以内なら効果がある。
3.2.0.6 伝染性単核球症
唾液を介して感染する。
高熱と脾腫、全身のリンパ節腫脹を伴う。
アンピシリンは発疹を生じるので注意。
伝染性単核球症は臨床症状のほか、異型リンパ球の出現、肝胆道系酵素の上昇といった所見で診断可能であるが、同時に他のウィルス感染症との鑑別が問題になる。
EBウィルス感染の特異的なマーカーはいくつかあるが、重要なのはEBNAとIgG-VCAである。
EBNAが陽性ならば患者は既感染、VCA-IgGが陽性ならば患者は新規感染である。
表 3.2:
EBウィルス感染のマーカー
急性感染
既感染
未感染
VCA-IgG
EBNA
3.2.0.6.1 治療
保存的加療のみ。
高熱は10日間続き、脾腫は4週間続く。
リンパ節腫脹による気道閉塞、溶血性貧血、重症血小板減少などが見られた際にはコルチコステロイドの使用の適応になる。
脾臓破裂の合併は非常にまれであるが緊急手術の適応になる。
3.2.0.7 全身精査の方法
熱源が分からない場合に行う全身の理学所見のとりかた。
頭
髄膜炎 頭痛、頚部の強直
顔面
副鼻腔炎 顔面痛
耳
中耳炎 耳痛、聴力障害
のど
咽頭炎
聴診
肺炎
心雑音
感染性心内膜炎
腹を押す
腹腔内の炎症
尿所見と背部痛
尿路感染症
女性の下腹痛
骨盤子宮内膜炎
直腸診
前立腺炎/肛門周囲膿瘍
四肢
蜂窩織炎/関節炎
静脈注射ラインの感染
3.2.0.8 肺結核
慢性的に経過する発熱、全身倦怠、咳嗽、夜間の発汗などを主訴に来院する。
特に高齢者の再発例の場合、診断がつきにくいことがある。
3日連続採取した朝の喀痰の培養/PCRで診断。
喀痰/胃液の培養陽性でも確定診断可能。
抗酸菌の塗沫標本陽性でも診断は確定する。
ガフキー号数3号以上の患者はハイリスクの感染者である。
3.2.0.8.1 入院までの流れ
ガフキー陽性の結核患者であっても、ガフキー3号以下、あるいは抗結核薬投与後2週間たった例は感染の危険は下がるといわれている。
入院患者は基本的に個室隔離
、本人には外科用のマスクをつけてもらい、他の人はN95マスクを着用する。
ガフキー4号以上の排菌患者は原則として結核専門病院へ転送。
医療従事者の感染がよく見られるので、感染者が入院した場合はとりあえずは介護者は35歳以上の人に限定、それ以下の人は入職時のツ反陽性であることを確認してから介護業務に入ってもらう。
3.2.0.8.2 結核予防法
結核は法律で届け出が義務づけられた伝染病であるので、結核と診断した場合、2日以内に所轄保健所に結核発生届け
3.7
をする。
結核治療を行なう場合には結核予防法に基づいて所属保健所に申請する必要がある。
患者を隔離して入院治療を行う場合は結核予防法35条。
外来で通院治療する場合は結核予防法34条を申請。
3.2.0.8.3 院内で結核が発生した場合
患者のガフキー号数
咳の期間(ヶ月)が10以上であった場合、広範な結核の伝播の可能性がある。
接触した職員、家族をピックアップし、患者発見から2ヵ月後にツ反を行う。
この時点でツ反の陽性化が無かった職員は、その1年後と2年後にそれぞれツ反、胸Xpを施行して感染を否定する。
ツ反については、入職時のツ反がある職員ではそのときより20mm以上大きくなっていたら陽性、そうでない職員では発赤の大きさが30mm以上あったら感染の危険ありと判断する。
感染の可能性ありとされた職員
3.8
は、INH 7〜8 mg/kg 6ヶ月の予防的な内服を行う。
3.2.0.9 不明熱
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admin 平成16年8月9日