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: 3.2 感染症
: 3. 中毒/感染症
: 3. 中毒/感染症
目次
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3.1 中毒
3.1.1.1 催吐
トコンシロップによる催吐は、重篤な薬物中毒に対する治療としては推薦されていない。
3.1.1.2 胃洗浄
胃洗浄をルーチンに行うことは、まだ本当に利益があるかどうか証明されていない。
胃洗浄を行うならば大径の胃洗浄用チューブを用いるべきで、NGチューブでは
内径が不十分である。意識のない患者に胃洗浄を行う場合は、誤嚥の可能性があるため
必ず気管内挿管の上手技を行う。
腐蝕性薬剤の中毒の際には胃洗浄は禁忌
3.1.1.3 活性炭の内服
効果が期待できるのは薬物内服後1時間以内。
活性炭は体重あたり約1g内服してもらう。
- リチウム
- 腐蝕性薬剤
- ホウ酸塩
- 臭化物、
- 鉄、エタノール
下剤単剤の内服には意味はない。通常活性炭との併用で用いるが、
活性炭単剤との比較でよりすぐれた効果があるのかどうかははっきりしていない。
3.1.1.5 尿のアルカリ化
特に三環系抗うつ薬の中毒時には重要な手技。他に効果があるのは
サリチル酸、イソニアジド、横紋筋融解症など。
1mEq/kgの重炭酸3.1を1Lの輸液に溶解し、点滴静注する。
透析が効果がある薬剤は以下のとおり。
- アルコール
- サリチル酸
- リチウム/バルビツール酸/向精神薬
- テオフィリン
- アテノロール
- プロカインアミド/ジソピラミド
3.1.2 中毒の治療
3.1.2.1 アセトアミノフェン中毒
7.5g以上内服していた場合、アセチルシステインによる治療を行う。
アセチルシステインは初回140mg/kg、以後70mg/kgの量の内服を4時間ごとに17回行う。活性炭が
併用されていた場合、その回のアセチルシステインの内服量を40%増量する。
3.1.2.2 メタノール中毒
- 100%アルコール換算で10mlを超えたら治療の適応。30mlを超えると致死的な可能性がある。
- エタノールの静注を行う。10%エタノールを10ml/kg、30分かけて静注した後1.4ml/kg/hのスピードで持続静注する。
- 他、アシドーシスの積極的な補正、ロイコボリンの投与など。
3.1.2.3 砒素中毒
- 嘔吐/下痢/腹痛で発症。
- その後呼吸不全/循環不全を生じる。
- 疑わないと診断は不可能。
- BAL2.5mg/kg 筋注を通常6時間ごとに1日4回、以後1日1回筋注を7日間続ける。
3.1.2.4 ベンゾジアゼピン
- 基本的には安全な薬なので、呼吸が止まらないことに注意だけしていれば大丈夫。
- 緊急に覚ましたいならアネキセートを使用。
- アネキセート 初回0.2mgを緩徐に静注
- 投与後4分以内に覚醒状態が得られない場合は更に0.1mgを追加投与
- 以後必要に応じ、1分間隔で0.1mgずつを総投与量1mgまで。
- ベンゾジアゼピンを慢性的に服用していた患者ではけいれん発作を生じる可能性があるため禁忌。
3.1.2.5 一酸化炭素中毒
- よく見られる症状は表3.1のとおり。
- HbCOレベルが非喫煙者で5%、喫煙者で10%を超えていたら確定診断。
- 7.5% の人に胸部異常影が出現するので、胸Xpを施行する。
表 3.1:
一酸化炭素中毒の症状
頭痛 |
84% |
めまい |
78% |
嘔気/嘔吐 |
53% |
思考力の低下 |
44% |
意識障害 |
2.9% |
|
100%酸素投与を当日6時間、翌日から1日100分を3日間続ける。
高圧酸素療法は、以下のようなケースで考慮3.2。
- 妊娠している女性
- 子供の一酸化炭素中毒
- 意識状態の悪い患者
- 神経学的に異常がある患者
- 100%酸素を4時間吸入しても症状の取れない患者
3.1.2.6 三環系抗うつ薬
- 薬物中毒の中でも致死率が高く、注意を要する。
- 心電図モニターは必須。徐脈を生じた後、いきなり心停止を生じる。
- カテコラミン抵抗性の血圧低下を生じるので、バイタル不安定ならメイロンの静注を開始。
速やかに重炭酸投与を行う。
- メイロン1mEq/kg3.3を1-2分かけて静注。
- メイロン50-150mEqを1000mlの1/2生食に溶解して150-200ml/hで開始。
- 以下の状態になるまで継続。
- QRS間隔が0.1msec以下になる
- 低血圧が回復
- 不整脈が落ち着く
3.1.2.7 コリン作動薬(農薬一般)
- 症状は低酸素血症、呼吸筋の麻痺、気管支攣縮、低血圧
- 胃洗浄すると牛乳のような真っ白い液体が引けるので農薬と分かる。
- 救急外来の職員も中毒になるので、胃洗浄中は窓を全開にすること。
基準となるのが、瞳孔径、発汗、徐脈、気道分泌増加である。最初は硫アトを30分おきに2-5Aずつ静注し、冷汗が無くなり、気道分泌物が減少し、瞳孔が3mm以上に開いてくるのを指標とする。
パラチオンなどには有効であり、スミチオンやバイジット、マラソンなどの低毒性有機リン剤に対しても、
流涎や痙攣などの症状を軽減する効果がある。
- 軽症例
- パム 2-4Aを静注し、筋力低下、筋攣縮が改善しなければ、更に2-4Aを静注する。
- 重症例
- 初回2-4Aを静注し、効果がみられなければ、1時間後より微量点滴セットに原液を入れ、3-20ml/hで持続点滴静注を行なう。
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admin
平成16年8月9日