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2.23 中断すると危ない薬

ACTH単独欠損症(PSL5mg/日)でフォローされている患者さんが、下痢と吐き気で外来を受診した。

気分が悪くて薬も飲めないということだったので、ラクテックとプリンペランを開始したが、1晩の点滴にもかかわらず、 患者さんの具合はよくならなかった。

翌朝、患者の意識が悪いということでコールがあり、見に行くと血圧が低下。血糖値をはかると、43と低下していた。



IDDMにてインスリン使用中の、57歳男性。

腹にくる風邪をひいてしまったということで、救急外来受診、来院した時の血糖値は110と正常であったため、眠前のインスリンは 使用せず、ラクテックの静注のみで経過を見た。症状が取れず、結局1晩救急外来キープ。

翌朝、調子がよくならないということで、血糖値をフォローしたところ359と上昇。 血液ガス上もアシドーシスになってしまっていた。



安静時の胸痛にて内科入院歴があり、ヘルベッサーの内服を行っていた患者。

今回、一過性脳虚血発作にて入院。入院時の血圧が140台と低かったため、すべての降圧薬の内服は中止された。

その後の経過は落ち着いていたが、入院3日目に胸痛を訴えた後にそのまま呼吸停止。 心肺蘇生を試みたが拍動の再開はなかった。

は、急に中断すると致命的な合併症を生じることがある。中止したい場合であっても、出来れば1日だけでも半量投与し、 翌日中止にするぐらいの配慮があったほうが安全。

副腎不全の患者、あるいはリウマチなどでプレドニンを長期間内服している患者では、感染症などで調子が悪くなるとステロイドの 需要が増す。このとき、ステロイドの増量を図らないと、相対的な副腎不全を生じることがあり、注意2.23しないと 低Na血症を生じたり、いきなり血圧が下がったりすることがある。

ステロイド系薬剤の急な中止で、ありがちなパターンは以下のとおり。

こうした際にも、ハイドロコーチゾンで100mg程度でかまわないので、補っておくとトラブらない。

2.23.0.1 急性期ホルモン補充療法

高齢者では、副腎や膵臓、脳下垂体といったホルモン系の内分泌機能が低下している。 インスリンやステロイド、バソプレシンといった一部のホルモンは、抗ストレスホルモンとしても働いており、 高齢者の敗血症の際など、相対的に分泌不全状態になっていると考える医師もいる。

こうした患者に対して、"急性期ホルモン補充療法"と称してインスリン、ステロイド、バソプレシンを少量ずつ 補う施設もあるという。

個々のホルモンについては、インスリンについてはGIK療法、ステロイドについては"stress dose"のステロイド補充、 バソプレシンについてもカテコラミン抵抗性ショックに対する、少量バソプレシンの補充といった形で、 こうした考えを支持する文献が出ている。

ただし、予後に関する大きなトライアルはなく、すべてをまとめてやったらどうなのか、 どんな症例を対象に行ったらいいのかなど、わからないことはまだまだ山ほどある。


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admin 平成16年11月12日