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2.22 痛み止めの禁忌症例

34歳の喘息患者さんが、腰痛にて来院。風邪も引いており、"いつも飲んでいる"ボルタレンを処方してほしいという。

カルテを見ると、確かに整形外科からボルタレンSRが処方されており、今までは内服がきっかけで発作を生じたことは 無かったらしい。そこで、痛いときの屯用でボルタレンを処方。

4日後、本人が喘息発作で緊急入院。救急外来の研修医が"どうしてNSAIDなんか飲んだの"と患者さんを叱り、 後から家族とトラブルになった。



余計なことを言った研修医に文句の一つもいってやろうかと思ったが、家族が怒っており、それどころではなかった。

今までNSAIDを服用していたことを説明しても、"危険を分かっていて、どうして出した"ともっと怒られる始末。 病院長も交えた会談を何度か開き、ようやく納得してもらえた。

NSAIDの副作用として、

の3つがあるのは有名。どれも、実際目にすることは少なく(特に、整形外来に來るような元気な人は)、 少しなれた医者は、患者さんのためとばかりにNSAIDをよく処方する。

しかし、どの副作用をとっても致命的になる可能性があり、また痛みそのものは、 取らなくても患者さんに恨まれるだけで、訴えられることは無い。

救急外来で、研修医が安心して出せる痛み止めはアセトアミノフェンだけ、と考えておいたほうがいい。 "勇気が無い"と笑う向きも多いが、たかが腰痛で人生を失うのはごめんだ。

もっとも、アセトアミノフェンは、日本では喘息禁忌であり、喘息に使えるNSAIDであったソランタールも、近年 喘息禁忌になった…。ソセゴンでも、使うしかないのか2.21?


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admin 平成16年11月12日