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: 2.20 無尿・乏尿
: 2. 症状別の対処法
: 2.18 運動麻痺
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85歳の女性。咳をすると血が混じったということで来院。独居であったために入院させたが、見た目は元気。
何気なく血液を採ったところ、Hbが6.5と低下。さらに腎機能が透析寸前まで悪化していた。
胸部単純写真は、右上葉がすりガラス様。
家族を呼んだが、東京で仕事中、ということで来たのは3日後。血漿交換、ステロイドの点滴を受けているのを見て
いきなり激怒してしまい(何か事故があったと思ったらしい)、後の対応が大変だった。
"あんた少しは血管炎の勉強しろよ"、と思ったが、黙っていた。血管炎症候群の説明を分かってもらおうと
努力したが、どうしても"自己免疫"の部分が分かってもらえない。
ところが"癌より悪い病気です"と一言言うと、"そうでしたか。ありがとうございました"といきなりいい人になった。
変に正確な話を心がけるより、" 癌癌癌癌癌"といったほうが話が早いときもある。
吐血との鑑別を要する。咳と共に喀出され、真っ赤であれば喀血。そうでなければ吐血の可能性もある。喀血は少量で、
すぐ止まるのことが多いが、例外はいくらでもある。
主なものを示す
- 気管支拡張症・気管支炎
- 肺癌
- 結核
- 全身性血管炎(ANCA関連血管炎やWegener肉芽腫など)
- 肺動静脈ろう
喀血の際は、肺に血液を誤嚥しているかどうかが重要。進行性の低酸素血症を生じることがある。
- バイタルの確認。SpO2が保たれていれば、血液ガスは緊急にはいらない。
逆に低酸素血症があった場合、挿管の準備をしてすぐに上級医をコール。ポータブルの写真をオーダー。喀血の場合、低酸素血症は進行する。
- 胸部単純写真をとる。酸素が十分であれば、下におろしてかまわない。
- 写真が何とも無かったら、止血剤の点滴と(胃潰瘍や喘息・腎不全の有無を確認の上)インダシン座薬25mgの使用で様子を見る。
- 胸部単純写真上、血液の誤嚥があった場合、予想以上に大量の出血を生じている可能性がある。酸素を十分量用い、上記の対処をした上で採血。翌日も写真とHbはフォローする。低酸素血症が進行してきた場合、健側の肺に片肺挿管を行い、気道をプロテクトする必要があるかもしれない。
- いずれの場合でも、必ず上級医に報告すること。悪性腫瘍や陳旧性の結核が原因のことが多いため、その後の検査計画を決めなくてはいけない。
- 落ち着いたら、翌日にでも待機的にCTを切る。
- 症状が落ち着いたら、喀痰細胞診、症状が続くなら、一度はANCAのワークアップと尿蛋白のチェックを行うほうがいい。
特に血管炎を疑った場合は、必ず家族に"死ぬ可能性"をお話しておく必要がある。
症状は急速に進行し、救命の手段はないに等しいため、あらかじめ話をしておかないとトラブルになる。
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admin
平成16年11月12日