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: 2.21 嘔吐
: 2. 症状別の対処法
: 2.19 喀血
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食欲不振にて入院している、87歳の胃瘻の入った男性。もう2ヶ月以上入院しているが、
家族は引き取る気は無いらしい。ずっと落ち着いていたが、月初めのルーチンの採血を行ったところ、BUN 50.3 CRE 5.2と
著明に上昇していた。ナースに確認すると、オムツ内の自尿はちゃんとあるという。脱水も、炎症反応の上昇
も無く、原因がわからないため腹部エコーを施行。著明な膀胱の拡大と、水腎症を指摘された。
すぐに導尿を施行し、大量の尿を得た。それから5日ほどは、1日に5000ml近い尿があったが、徐々に正常化。腎気能も戻った。
一応家族に状況を報告。腎機能が落ち着くまで入院加療を続けます、という部分で大喜びされ、全くトラブルにならなかった。
それはそれで、ちょっと悲しかった。
- 無尿と乏尿は違う。進行する腎不全から無尿になることはまれ。
- まず真っ先に尿カテの閉塞、尿道の閉塞を疑う。下腹部が張っていないかどうか、腹部エコーで膀胱内尿は無いのか。
- 乏尿であった場合、血圧と脈拍の確認を行う。脱水以外に心不全、血圧の低下からも乏尿は生じる。疑ったら胸部単純写真、血液データのフォローを行う。
- バイタルの安定している乏尿患者であれば、腎前性でも腎性でも輸液の適応。ラクッテックでかまわないので、1から2本を2時間程度かけて点滴。これで反応性に利尿が得られれば様子を見る。
- 血液データ上、BUNとクレアチニンの上昇が見られた場合、高齢者では脱水よりもカロリーの不足が原因となっていることが多い。水分バランスだけでなく、栄養の摂取状況にも注意。
- カロリーの不足がありそうなら、蛋白を制限して末梢静脈栄養を食事と併用すると良い。
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admin
平成16年11月12日