下級生同士が教えあいをしているときに、
などと突っ込むだけでも、チームの和は簡単に崩れます。下級生はお互いのコミュニケーションをとる気力を奪われ、 上司に意見を述べることなどまったくしなくなります。上級生の命令には素直に従うようになり、 下級生を叱ったりする必要は、まったくなくなります。
この方法は、一昔前の軍隊でよく行われた方法です。この方法は、あまり気乗りのしない仕事を、 効率は犠牲にしてもこなしていかなくてはならないときに、非常に有効なチーム管理の方法といわれています。
こういった軍隊型のリーダーシップと対比されるのが、問題解決型リーダーシップといわれている方法です。
この形式では、リーダーは命令者ではなく、チーム内のアイデアの流れを保ち、アイデアを拾い上げ、実際の製品に育てる マネージャー的な役割と定義されます。チームのメンバーに求められるのは、リーダーに従うことよりも、 チームに参加し、活発にアイデアを出すことです。
軍隊ならば、将軍がアイデアを出し、それをトップダウンしてチームをまとめますが、 問題解決型のチームでは、アイデアを提案するのはチームのメンバーの仕事です。 リーダーの役割は、こうしたアイデアを出しやすくすること、全ての情報を、メンバーに滞りなく伝えることです。
こういったチーム作りは、創造性が求められる技術開発の現場で有効、といわれています。
そうはいっても、明日から"忌憚の無い意見を述べ合うようにしよう"とリーダーが言っても、無理な話です。 もしも私に、1年目の研修医が"忌憚の無い意見"を吐いてきたら、やはり不愉快に思ってしまうでしょう。
リーダーがよほどしっかり情報を伝達し、また情報を収集するよう努めない限り、 下からのエラー訂正の情報は上がってきません。
単に"ディスカッションをするようにしましょう"という掛け声だけでは不足です。
患者さんの方針を決定する際など、リーダーが"私は病気をこう考え、こうしようと思う"と全員に宣言した後、 メンバーにも同様に、"私ならこうしようと思います""私はこういう情報を持っています" などと、メンバー一人一人の考えを述べさせるべきです。
"賛成!"とか、"いいんじゃないですか?"といった、自分の脳を使わない肯定意見を述べるのは禁止にすることで、 チームのメンバーを、半ば強制的に議論に参加させることができると思います。