喘息患者においては、気管内挿管の決断は慎重にしなくてはならない。 高二酸化炭素血症(PaCO240mmHg以上)は、 たしかに患者の状態が悪化しているサインではあるが、 こうした患者のすべてに気管内挿管の適応があるわけではない。
代表的な、気管内挿管の適応は以下のとおりである。
喘息患者に気管内挿管を行うことは、非常に困難である。 重篤な喘息患者は気道抵抗が高く、アンビュバッグによる 換気の補助を行うことはできないかもしれない。
また、喘息発作時の組織の浮腫、反射性の気管支攣縮も、 気管内挿管を難しくする。
特に喘息の場合、最初の気管内挿管に失敗すると、それだけで致命的になることがある。 必ず、複数の人間で挿管の準備を行う7。
一方で大径の挿管チューブを用いることができず、 手技に慣れていない人が行うと、気道を刺激して、 喉頭けいれんを生じたり、気管支攣縮を生じるかもしれない。
しかし、救急外来のような場所では、筋弛緩剤を併用した気管内挿管が、 しばしば必要となる。
通常、ケタミンは1〜2mg/kgの静注で用いられ、呼吸を止めることなく10から15分程度の 完全な鎮静が得られる。ケタミンは喉頭の反射を強めてしまうため、 過剰な気道の刺激は喉頭けいれんを生じる可能性があり、注意が必要である。
この薬剤もまた、気管内挿管時の薬剤としては有効で、2〜2.5mg/kgの量を静注で用いる。 プロポフォールは血圧を下げる可能性があり、脱水患者の場合は注意が必要である。
Rocuronium9は、短時間作用型の非脱分極性筋弛緩剤であるが、 サクシニルコリンの代わりに用いることができる。しかし、緊急を要する事態の場合は、 その作用発現の速さから、サクシニルコリンの使用を勧める。