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: 8 その他の治療 : 救急外来での喘息治療 : 6 喘息患者に対する非侵襲的換気療法   目次


7 気管内挿管

7.1 挿管の適応

救急外来に来る喘息患者で、気管内挿管が必要になる患者はごく一部である。

喘息患者においては、気管内挿管の決断は慎重にしなくてはならない。 高二酸化炭素血症(PaCO240mmHg以上)は、 たしかに患者の状態が悪化しているサインではあるが、 こうした患者のすべてに気管内挿管の適応があるわけではない。

代表的な、気管内挿管の適応は以下のとおりである。

7.1.0.1 必ず人を集める

喘息患者に気管内挿管を行うことは、非常に困難である。 重篤な喘息患者は気道抵抗が高く、アンビュバッグによる 換気の補助を行うことはできないかもしれない。

また、喘息発作時の組織の浮腫、反射性の気管支攣縮も、 気管内挿管を難しくする。

特に喘息の場合、最初の気管内挿管に失敗すると、それだけで致命的になることがある。 必ず、複数の人間で挿管の準備を行う7

7.2 気管内挿管の経路

7.2.0.1 経鼻挿管

盲目的経鼻挿管は、喘息患者においては比較的安全に行える。 この方法は患者を起こしたままで行うことができ、 またセデーションをそれほど深くかける必要が無いので、 患者の気道がふさがってしまう可能性が少ない。

一方で大径の挿管チューブを用いることができず、 手技に慣れていない人が行うと、気道を刺激して、 喉頭けいれんを生じたり、気管支攣縮を生じるかもしれない。

7.2.0.2 経口挿管

筋弛緩剤を用いない、セデーションのみ使用した経口挿管は、よく用いられる方法である。 この方法は、気道が安定しており、不隠でない患者であれば、安全に行うことができる。

しかし、救急外来のような場所では、筋弛緩剤を併用した気管内挿管が、 しばしば必要となる。

7.3 挿管に用いる薬剤

7.3.0.1 ベンゾジアセピン

は、その作用の遅さ、不十分な筋弛緩作用などから、 あまり勧められる薬剤ではない。

7.3.0.2 ケタミン

は静注用の全身麻酔薬であるが、気管支拡張作用を併せ持っているため、 喘息患者の緊急の気管内挿管の場面ではよく使われる薬剤である。

通常、ケタミンは1〜2mg/kgの静注で用いられ、呼吸を止めることなく10から15分程度の 完全な鎮静が得られる。ケタミンは喉頭の反射を強めてしまうため、 過剰な気道の刺激は喉頭けいれんを生じる可能性があり、注意が必要である。

7.3.0.3 プロポフォール

は短時間作用型の全身麻酔薬で、やはり気道抵抗を下げる作用がある。

この薬剤もまた、気管内挿管時の薬剤としては有効で、2〜2.5mg/kgの量を静注で用いる。 プロポフォールは血圧を下げる可能性があり、脱水患者の場合は注意が必要である。

7.3.0.4 サクシニルコリン

8は、第1選択で用いられる筋弛緩剤である。 サクシニルコリンはヒスタミンを遊離するといわれているが、 この作用は臨床的には有意ではない。 通常、1mg/kg程度の量を用いる。

Rocuronium9は、短時間作用型の非脱分極性筋弛緩剤であるが、 サクシニルコリンの代わりに用いることができる。しかし、緊急を要する事態の場合は、 その作用発現の速さから、サクシニルコリンの使用を勧める。


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admin 平成16年11月12日