気管支拡張剤の吸入療法は、喘息治療の柱であり、どこの外来でも必ず行われる。 一方で、特に超音波ネブライザーを用いている場合、患者が空気を吐いている際には、せっかくの薬剤は 全て空気中に散布されてしまい、肺に入っていかない。
これは、いかにも無駄が多く、また肺に入らず、口腔粘膜でとどまった薬剤は、頻脈などの副作用の 原因にもなる。
同じことを思う人は多いようで、この問題に対する工夫が、いくつも発表されている。
ネブライザーで投与される薬剤は、多くはマスクを用いて投与される。吸入される薬剤のうち、 鼻から吸入される薬剤は、鼻でフィルターされていまい、無駄になる。
エアゾールを鼻から吸入させた場合、口から吸入した場合に比べて、肺に入っていく量は半分程度になってしまう。
患者に、極力口で呼吸してもらうか、あるいは吸入にマウスピースを用いることで、吸入効率を高めることが出来る。
効率よくエアゾールを吸ってもらう方法として、従来から、Tピースと、呼吸器用の蛇管を利用したエアゾール用の リザーバーが用いられてきた。
これをもとに、もっと本格的なリザーバーバッグをつけたものも、製品化されている。
細かい構造を図9に示すが、このリザーバーのおかげで、呼気時のエアゾルが無駄にならないだけでなく、 患者の吸気時にも大量のエアゾルを吸入することが出来、下気道へのエアゾルの沈着率が向上したという。
この方法は、救急外来の超音波ネブライザーとTチューブ、壊れたリザーバーマスクひとつで簡単に組み立てることが出来る。 一度、試してみてはどうだろうか。
気管支喘息急性期に用いる薬剤として、多分もっとも一般的なのはsalbutamol(ベネトリン)であろう。
この薬を、どのくらい投与するのが一番効果があるのかは、未だによく分かっていないが、 その効果発現には閾値が存在するといわれている。大体、総量5〜7.5mgを投与すると効果が出現し、10mgを超えると 副作用の頻度が増してくる。
この量、7.5mgを、2.5〜5mgの20〜30分毎の分割投与を行ったほうがいいのか、一回で持続的な投与を行ったほうがいいのか については議論がある。
急性期の、重篤な喘息患者へネブライザーを行う際には、間歇的な投与よりも、連続的な投与のほうが、 効果がより高い、という報告がいくつかある4。
報告により量はまちまちであるが、大体7.5〜10mgを1〜2時間かけて投与したレポートが多く、 一応、安全性には問題なかったという。