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7.10 気道浄化法の選択

これらの様々な気道浄化法のうち、どれを主に用いるべきかは、患者の病気、やる気の問題、 年齢などいくつもの要因によって変わってくる。

7.10.0.1 いずれにしてもやる気が重要

患者自身のやる気の問題は、いずれにしても大きな問題となってくる。

多くの介護者は、 いかなる方法でもそれなりに患者に効果があると信じているが、 一方で患者の協力が無いとそれらは得られないとも分かっている。

たとえ肺機能の上昇がすぐには得られなくても、大抵の場合、喀出できる痰の増加が患者のやる気に結びつく。 多くの患者は、痰が多く出ればそれだけ自分の病気が良くなると信じている。

患者の年齢もまた、どんな手技を行うべきかを決める大切な要因となる。 幼児〜3才位までは術者とのコミュニケーションが全くとれないために、全面的に術者の技量に頼った手技が必要となる。

また術者の技量も、どの手技を行っていくべきかを決定しうる。ある種の手技は覚えるのが簡単な反面、 熟練した教官のもとで学ばなくてはならない手技も存在する。

もしも、その患者に対して行える手技がいくつかあり、更に、それらが同じ位に効果的であった場合、 患者の病気により適応した手技の選択が必要となってくる。例えば、神経筋疾患の患者においては、 ある種の手技(咳など)を行うのは難しいかもしれない。

7.10.0.2 どの方法をやっても大きな差はない

実際のところ、CFの患者については、いくつかの理学的な手技の比較をしたスタディがあり、 それらをメタアナリシスした結果がでているが、どの手技を用いてもその結果については大きな違いはなく、 むしろその患者のより好む手技を選択すべきであるという結論であった。

今後考えなくてはいけないのは、コストの問題である。例えば、体位ドレナージは介護者を必要とし、 もしも家族の協力が得られないのならば、莫大な費用がかかる。

また、機械的な咳を行う道具や、高頻度胸部圧迫を行う道具もまた高価である。

7.10.0.3 国ごとの文化的な違いもある

能動的呼吸法の習得には一切の道具はいらず、また、PEEPマスクやフラッターバルブもそれほど高価なものではない。 しかし、こうした自分で行う方法には本人のやる気が非常に大切である。文化的な違いもあり、 ヨーロッパでは患者は道具を用いない方法をより好むのに対し、アメリカではむしろ逆の傾向がある。


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admin 平成16年11月12日