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3 下血した
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消化器疾患
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1 吐血した
目次
索引
2.0.0.1 腹腔内臓器以外の腹痛の原因
2.1 とりあえずの対処
2.2 腹痛を生じる疾患
2.2.1 腹部大動脈瘤破裂
2.2.1.1 治療
2.2.2 子宮外妊娠
2.2.2.1 治療
2.2.3 卵巣茎捻転
2.2.3.1 治療
2.2.4 消化管潰瘍穿孔
2.2.4.1 治療
2.2.5 胆石/胆のう炎
2.2.5.1 治療
2.2.6 膵炎
2.2.6.1 治療
2.2.7 虫垂炎
2.2.7.1 治療
2.2.8 上腸間膜動脈閉塞症
2.2.8.1 治療
2.2.9 腸閉塞
2.2.9.1 治療
2.2.10 骨盤子宮内膜炎
2.2.10.1 治療
2.2.11 急性尿閉
2.2.11.1 治療
2.2.12 尿路結石症
2.2.12.1 治療
2.2.13 虚血性腸炎
2 腹が痛い
病歴から突然発症した腹痛、軽い痛みからだんだんと増強してきた腹痛とに分類して考える。
2.0.0.1 腹腔内臓器以外の腹痛の原因
ポルフィリア
副腎不全
糖尿病性ケトアシドーシス
尿毒症
高Ca血症
2.1 とりあえずの対処
バイタル
を測る。
発熱を生じていないか
ショックになっていないかどうか
腹部を押してみる
食後に増悪した右上腹部の圧痛は、
胆石症
食事で増悪し、吐き気や胸やけを伴う上腹部痛は
胃潰瘍
突然発症した、背中から鼡径部にかけての叩打痛は
尿路結石
腹部全体の痛みで発症し、微熱を伴い右下腹部に限局する痛みは
虫垂炎
鼡径部から左右下腹/背中にかけて痛み、若い女性の場合は
妊娠/卵巣出血/子宮外妊娠
飲酒歴があり、重篤な上腹部痛、背部痛があったら
膵炎
圧痛がないなら腸間膜動脈閉塞/腸閉塞/ケトアシドーシス/高Ca血症などを考慮
輸液を行う
生食、あるいはラクテックを500ml、まずは2時間程度かけて点滴する。 腹痛患者のほとんどは、軽度の脱水になっている
1
。
1
腸粘膜が腫大すると、 大量の水分がそこにとられるため
採血をとる
生化一般、AMY、CRPを提出する。
重篤でGOT/LDHがわずかに上昇
腸間膜動脈閉塞症、心筋梗塞
AMY、リパーゼの上昇
膵炎
CRP、WBCの上昇
虫垂炎、腹膜炎
GOT/GPT/LDH/ALPの上昇
胆管炎
高血糖/低血糖
DMケトアシドーシス/副腎不全
腹部単純写真をとる
あえて立位にしなくても、臥位でよい。
小腸が
3cm以上拡張
腸閉塞
腸の外壁が写る
腸管穿孔
腹部中央の巨大なガス像
大腸捻転
造影CTをとる
腎機能が正常なこと、妊娠していないことを確かめてから。
腹水
腹膜炎/虫垂炎
動脈瘤
切迫破裂
肺野条件の腹CTで腹腔ガス
腸管穿孔
膵臓の腫大と溶解
膵炎
腸管全体の腫大
腸間膜動脈閉塞
腹部エコーをとる。
腹水
虫垂炎/腹膜炎
動脈瘤の圧痛
1
腹部大動脈瘤
胆のうの圧痛
胆石/胆のう炎
1
プローべで押す
2.2 腹痛を生じる疾患
2.2.1 腹部大動脈瘤破裂
突然発症する腹部中央の痛み
通常ショックを合併
腹部エコーやCT
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で確定診断。
30%の患者に尿潜血陽性になるため、尿路結石と誤診しやすい。
無症候のものは、50mm以上あったら手術の適応。
2.2.1.1 治療
緊急手術の適応。
すぐに静脈ラインを取り外科コール。
2.2.2 子宮外妊娠
妊娠可能年齢の女性の突発する下腹部痛。
妊娠反応は陽性になる。
血性/茶褐色の帯下
2.2.2.1 治療
ラインキープの上婦人科をコール。
大量出血によるショック状態のときには緊急開腹手術が必要。
多くの場合は、腹腔鏡下手術が可能。
2.2.3 卵巣茎捻転
婦人科領域の腹痛では子宮外妊娠に次いで多く見られる
妊娠反応は陰性。
茎捻転は正常の付属器には起こりにくく、通常はのう胞や腫瘍が存在しバランスが崩れて捻転を生じる。
臨床症状は一側の急激な下腹部痛と嘔気、嘔吐など
エコーができれば、腹腔内に腫瘤
5
を描出できる
2.2.3.1 治療
通常は手術が必要
2.2.4 消化管潰瘍穿孔
突然発症した腹痛で、歩行や咳などの動作で増悪
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穿孔から3-4時間で腹痛は腹部全体に広がり一方腹痛はやや軽減する。
疼痛を生じる部位は、穿孔した場所により異なる。
古典的には立位胸部Xpでフリーエアーを証明するが、肺野条件の腹部CTを撮影したほうが簡単
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で確実。
2.2.4.1 治療
緊急手術の適応。
それまでは静注のH2ブロッカー、PPIにより加療。
施設によってはNGチューブによる減圧/禁食、抗生物質により保存的に経過を見ることもある。
2.2.5 胆石/胆のう炎
典型的には食後に発症する右上腹部痛。
痛み、発熱、黄疸がCharcotの3徴と呼ばれる。
エコーで腫大した胆石を証明し、またそのままプローべを胆のうに押し付けると痛がる。
血清GOT、GPT、LDH、ALP、bilの上昇
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。
感染が合併していれば、白血球数の上昇と発熱。
2.2.5.1 治療
鎮痛剤としてブスコパン1A 20mgを筋注または静注。
補液により経過観察。
感染を合併しているときは入院。嫌気性菌とグラム陰性桿菌をカバーする抗生物質
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を使用。
痛みが取れるまでは原則禁食。
黄疸が出ているような症例では、経皮ドレナージを緊急に行うこともある。
2.2.6 膵炎
上腹部-背中に放散する重篤な持続痛を生じる。
慢性アルコール中毒患者、ERCP後の患者に発症するのが典型的。
血液中のアミラーゼの上昇に加え、可能ならリパーゼの上昇をみる。
重症度を推定するため、血糖値、白血球数、LDH、GOT、血清Ca、血液ガスを入院後と48時間目の2回とる。
2.2.6.1 治療
ラクテック/生食を100ml/h前後で大量に輸液。
エフオーワイ注2000-2400mg/24時間またはフサン注 150-200mg/24時間を持続静注
チエナム
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1回0.5g を1日2回静注。
特に重症の膵炎になると施設ごとにさまざまなオリジナル治療が試みられる。 教科書に書いていないことがいくらでも出てくる世界なので、注意。
2.2.7 虫垂炎
微熱とともに徐々に増悪する右下腹部痛で発症。
歩行や咳嗽といった軽微な刺激で局所的な腹痛を自覚する。
下痢を合併することがしばしばあり、下痢の存在だけで虫垂炎を鑑別してはいけない。
血液検査は軽度の白血球数上昇のみ。
2.2.7.1 治療
古典的には緊急手術
入院の上絶食、抗生物質により保存的に経過を見てしまう施設も多い。
2.2.8 上腸間膜動脈閉塞症
突然発症する腹部全体の痛み。
非常に重篤感が強い。
腹部グル音は減弱するが、しっかり聞こえる
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ことも多い。
腹部は柔らかく、圧痛も無い。
運がよければ腹部エコーで腸間膜動脈の血流途絶がわかるが、ほとんどの場合ガスで何も見えない。
造影CTをとっても、"腸全体がなんとなく腫れている"像のみ。
疑わなければ絶対診断できず
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、診断方法は事実上腹部アンギオしかない。
2.2.8.1 治療
腹部アンギオで発症早期に診断がついた場合は、血行再建が試みられることもある。
通常は緊急手術だが、開けてみたら腸は真っ黒になっていることがほとんど。
決着がついたら過凝固状態の原因精査
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を。
2.2.9 腸閉塞
重篤な腹痛が間欠的に出現。
嘔吐を伴うことが多い。
通常は手術後の患者にしか生じない。
手術をしたことの無い患者の腸閉塞は消化器悪性腫瘍のサインであることが多い。
腹部単純写真
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で腸管が3cm以上に拡大していたら腸閉塞と診断可能。
2.2.9.1 治療
禁食にするとともにNGチューブを挿入、胃内の減圧を行う。
チューブは持続吸引を行わないと十分な減圧ができない。
かなりの脱水になる
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ので、輸液はラクテック100ml/h程度に多めに。
閉塞解除後の再発予防に大建中湯3P/3Xが有効。
2.2.10 骨盤子宮内膜炎
若い女性の発熱を伴う下腹部痛。
妊娠反応とともに尿中クラミジア抗原陽性で診断。
婦人科コンサルトを。
2.2.10.1 治療
腸管内細菌に加えてクラミジアをカバーする抗生物質を処方する。
メトロニダゾール+マクロライド
ニューキノロン単剤
2.2.11 急性尿閉
高齢男性の下腹部痛でしばしば見られる。
下腹に緊満した膀胱を触れる。
導尿により症状が軽快したら診断が確定。
2.2.11.1 治療
泌尿器科コンサルト
遮断薬の内服
1-2日は尿カテが必要なことが多い
2.2.12 尿路結石症
急激に発症した側腹-背部の痛み
非常に痛がるわりには重篤感が薄い
尿潜血陽性
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発熱/感染がないことを確認する
2.2.12.1 治療
喘息の既往のないことを確認してNSAIDs の内服/座薬
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を使用。
汗を書いて脱水気味になっていることが多いので、補液。
ブスコパン等の鎮痙薬が効果があることもある。
2.2.13 虚血性腸炎
P.
参照。
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admin 平成16年12月9日