7 血圧が高い

7.0.0.1 病的な高血圧の原因

本態性高血圧と腎血管性高血圧がほとんど。

表 3: 救急外来に来る高血圧の原因

本態性高血圧	70%
腎血管性	10%
神経性	6.7%
糖尿病性腎症	10%
褐色細胞腫	3.3%
原発性アルドステロン症	0.6%

7.0.0.2 カプトリル負荷試験

1. 検査前30分間は安静臥床
2. 負荷前のレニン濃度を測定
3. カプトリル50mを経口投与
4. 1時間安静を維持した後、再度レニン濃度を測定
5. カプトリル負荷後のレニンが10ng/ml/h以上、あるいは150%以上上昇したら陽性

7.1 血圧の上昇する疾患

7.1.1 高血圧性緊急症

• 脳出血、進行する心不全、腎不全、動脈瘤の切迫破裂等で血圧を急に下げなくてはいけない場合。
• 救急外来に来る患者の3%が高血圧を主訴に来院する。
• 以下のような薬剤が推薦される。

• 静注用降圧薬
  • ニトロプルシッド(ニトプロ) 0.25-10$\mu$g/kg/min
  • ニカルジピン(ペルジピン) 5-15mg/h
  • ニトログリセリン 5-100$\mu$g/min/
• 経口薬
  • カプトリルの25mg錠をごく少量の水に溶かして舌下²⁸

7.1.2 本態性高血圧

• 2次性の高血圧の存在がないかどうか、血圧を上昇させる薬剤の内服がないかどうか注意が必要。
• 血圧を上げる薬
  • ホルモン補充療法
  • コルチコステロイド
  • NSAID
  • エルゴタミン
  • MAO拮抗薬

7.1.2.1 治療

• 減量、減塩、アルコールの減量等で通常3ヶ月ほど様子を見てから薬物療法を考慮する。
• 同時に高脂血症、糖尿病のスクリーニングも行っていく。

7.1.3 腎性高血圧

• 通常の薬物治療に反応しにくい高血圧患者で疑う。
• 腹部の血管雑音の聴取は診断に有用である。
• 下肢ASOの患者の15-25%に本症が合併する。
• 血液中レニン/アルドステロン濃度上昇。
• 腹部エコー/腹部CTで血管の狭窄や腎の萎縮を証明。
• レノグラムで腎血流の低下を証明。

7.1.3.1 治療

• 血行再建を行わないならACE阻害薬は禁忌。
• 強力な降圧治療を行うか、腎動脈のPTAを考慮する。

7.1.4 褐色細胞腫

• 重篤な頭痛、頻脈、高血圧を主訴に来院する。
• 24時間酸性蓄尿中から、エピネフリン(基準値15$\mu$g以下)、ノルエピネフリン(基準値120$\mu$g以下)、ドパミン(基準値700$\mu$g以下)の上昇を証明する。
• MIBGシンチは診断確定/腫瘍の同定に有用。
• 診断がついたら血液サンプリングで腫瘍の位置を同定。

7.1.4.1 治療

• 腫瘍の切除を行う前は薬物治療。
• $\beta$遮断薬を単独で用いると高血圧が増悪する可能性があり、禁忌。 必ず$\alpha$遮断薬を使用してからにする。

7.1.5 原発性アルドステロン症

• 筋力低下、テタニー、多尿などを発症。
• 高血圧、低K血症、血液中のレニン濃度低下、アルドステロン上昇を証明する。
• 副腎腫瘍によるものが最も多い。
• CT/MRIで腫瘍の証明を行う。
• Ca拮抗薬はアルドステロン分泌を正常化してしまうため、本症をマスクすることがある。

7.1.5.1 治療

• アルドステロン拮抗薬(アルダクトン)による治療を行う。
• 腫瘍が見つかれば手術も考慮。
• 腫瘍の増殖抑制のためにステロイドの内服を行うこともある。