ホームページに戻る
: 5 肺うっ血を生じた
: 循環器疾患
: 3 失神した
目次
索引
4 脈が速い
|
バイタルを確認する
ショックを伴う頻脈性不整脈は心肺蘇生に準じた準備
1が必要になる。
|
- 1 救急カートと挿管セット、アンビューとサクションセット
|
|
|
12誘導とモニター心電図をつける
QRSの幅と脈拍で判断。
- QRS幅が狭く脈が不整
心房細動
- QRS幅が狭く脈が整
上室性頻拍
- QRS幅が広く脈が整
心室頻拍
- QRS幅が広く脈が不整
WPW症候群に合併した心房細動
|
|
|
点滴ラインをとる
不整脈の治療には点滴ラインが必要である。
輸液の種類は何でもかまわない。
|
|
|
薬物治療を行う
- QRS幅の狭い頻脈
ワソラン1Aを2分かけて静注。
効果がなければ10分後に繰り返す。
- QRS幅の広い頻脈
2%キシロカイン1/2A(50mg)を1分で静注。
効果がなければ5分後に繰り返す。
上級医がコール可能な状況なら、必ず到着を待ってから治療の指導
1を受ける。
|
- 1 上記のオーダーは極めていいかげんなものである。
|
|
4.2.1 上室性期外収縮
図 6:
上室性期外収縮
|
幅の狭い(正常と変わらない形の)QRS波が一つだけ他と不規則に出現する。
その後はまた規則的なQRS波に戻る。P波は見えるときと見えないときがある。
- 無害な不整脈であることを説明する。
- アルコールやカフェインを控えてもらう。
- 必要があれば、アテノロールやメトプロロール、ベラパミルの内服を考慮する。
4.2.2 洞性頻脈
図 7:
洞性頻脈
|
- P波がQRSに先行する幅の狭い頻脈。
- 心房頻拍症や、特に高齢者では心房粗動との区別がつかないことがある。
- 他の病的な不整脈が突然脈拍が早くなるのに対して、洞性頻拍は徐々に脈拍数が上昇する。
- 通常は脱水、発熱、痛みや薬剤といった何らかの誘因が存在する。
- 発熱に頻脈を伴い、心雑音を聴取した場合には常に感染性心内膜炎を念頭におく。
- 低血糖、消化管出血に伴う貧血が原因になることもある。
- 頻脈を生じる薬剤
- 三環系抗うつ薬
- Ca拮抗薬
- ジギタリス
- 利尿薬
- 気管支拡張薬
4.2.3 上室性頻拍症
図 8:
発作性上室性頻拍症
|
- 突然発症するQRS幅の狭い頻脈。
- P波とQRS波の位置関係でAVRT、AVNRTに分類できるがとりあえずの治療は同じ。
- アデノシン
- 10mgを急速静注して用いる。
- 静注してから数秒後、心房/心室の伝導が3秒前後切れる。その後洞調律に戻る。この間の心電図を見ることで頻脈の原因診断16ができる。
- 患者は非常に気分が悪くなるので注意。
- 効果がない場合は1回20mgまで増量可
- ワソラン
- 1回5mg(1/2A)を5分かけて静注。
- 脈拍は5分ほどかけて徐々に遅くなり、心拍数が130台にまで低下するとたいがい洞調律に復帰する。
- 効果がなければ30分後に再度静注可能。血圧低下に注意。
- ヘルベッサー
- 0.25mg/kg を2分かけて静注。効果がなければ15分後に同量を静注。
- 効果はワソランと同じ。心筋抑制はヘルベッサーのほうが少ないといわれる。
4.2.4 心房細動
図 9:
心房細動
|
- 幅の狭いQRSが不規則に続く。
- 頻度は高い。70代の4.8%、80台以上の8.8%に心房細動が生じる。
- 入院を要する心房細動のうち5%は甲状腺機能異常が原因になっている。
- 新規発症の心房細動の原因として低酸素血症、甲状腺機能異常、肺塞栓、虚血性心疾患、脱水症の有無を検索する必要がある。
脈拍コントロールと除細動がある。
- 急に生じた心房細動の場合、心不全や心筋虚血が無ければ、脈拍のコントロールのみ行っておけばよい。
- よく使われるのは、ワソラン錠2T/2X-3T/3Xの内服である。心不全でも起こしていない限り、緊急に静注する必要は無い。
- 伝統的に用いられてきたジギタリスは、発作性に生じた心房細動の徐拍化にはあまり効果がない。
- 不安定な患者では電気的除細動を考慮する。
- 薬物による除細動を期待するときは以下を用いる。
- タンボコール 50-150mg1日2回
- プロノン 150-300mg1日2回
- ソタコール 40mg1日2回より漸増。120mg1日2回程度まで
- アミオダロン 200-400mg1日1回(ローディングが必要)
- 高齢者の心房細動では、発作性/持続性どちらであってもワーファリンによる抗凝固療法を考慮する。
発症から48時間以上たっているとき、あるいはいつから発症したのか分からない心房細動は、除細動を行うと塞栓症を生じる危険がある。2週間以上の抗凝固療法を行った後に除細動を考慮するか、経食道心エコーを行い左房内に血栓のないことを確認してから除細動を試みる。
脈拍のコントロールを行う際は、禁忌がなければ遮断薬の内服が第一選択である。ジギタリス製剤は伝統的に用いられるが、運動誘発性の頻脈には効果が薄い。
4.3 QRS幅の広い頻脈を生じる疾患
4.3.1 期外収縮
図 10:
心室性期外収縮
|
以下のケースは低リスク。重篤な不整脈を生じる可能性は低い17ので、本人の症状がひどくなければ無投薬で様子を見てかまわない。
- 期外収縮の形が一定
- 正常なQRSとの距離18が一定
症状が強いか、本人の希望があれば薬物治療を考慮。
- 1度:1時間に30個以下
- 2度:1分間に1個以上または1時間に30個以上
- 3度:多形性(2種類以上の異なった形のQRSが出現)
- 4A度:2連発の反復
- 4B度:3連発以上の反復(図11)
- 5度:R on T(VPCのQRS波が前の拍のT波と重なって存在)
- アルコールは控えてもらう。
- 薬物療法としてはメトプロロールやアテノロールの内服が第一選択。
- 効果がないならI群の抗不整脈薬19の内服。
4.3.2 危険な心室性期外収縮
図 11:
危険な心室性期外収縮
|
期外収縮の形が変わる場合、もともとのQRS波型と無関係に期外収縮が生じている場合などは、ハイリスクである。
以下の事をまず行い、是正可能な原因があれば是正する。
- Na、K、Cl、Ca、Mgを含めた採血。
- 12誘導心電図でQT延長の有無、心筋虚血の有無を評価。
- 常にDCが使えるよう、機械の位置を確認しておく。
治療は必ず上級医の判断で。アミオダロン内服や、VT/Vfを繰り返すようならインデラル静注などを考慮。
4.3.3 心室頻拍
図 12:
心室頻拍の心電図
|
心室性期外収縮が6個以上連発するものを心室頻拍といい、
30秒未満のものを非持続性VT、30秒以上のものを持続性VT(図12)という。
この場合の対応は基礎疾患、血行動態(つまり血圧や意識状態)、Vf既往の有無、
心拍数(RR間隔)などにより異なる20。
4.3.3.1 上室性頻拍との鑑別
変行伝導を伴った上室性頻拍は、心室頻拍との鑑別が難しい。12誘導心電図で両者を見分ける方法として、
以下のどれかに当てはまるなら、心室頻拍である可能性が高いといわれている。
|
前胸部誘導でRS波1がない。
|
- 1 左図のような波形。右脚ブロックのような波形。
|
|
-
-
- 全ての前胸部誘導が同じ形。
- 心拍数が速く脈を触れない21もの(心拍数130-140以上)
- 心室細動の既往がある人に発生した場合
- 興奮間隔が不規則かつ短縮傾向にあるもの
- 脈拍が触れ、意識がしっかりしているならキシロカイン50mgを1分間で静注。
- 効果がないならもう50mgを再度静注。
- 効果がないならアミサリンを200mgずつ、不整脈が止まるか、血圧が下がるまで静注。最大1000mgまで。
- 止まらないなら、無理せず電気的除細動。同期モードで100-200J。
この間、患者の血圧が下がったり、意識が悪くなったらすぐにVfの治療に準じた治療22を行う。心室頻拍が、細動に移行することはよくある。
ホームページに戻る
: 5 肺うっ血を生じた
: 循環器疾患
: 3 失神した
目次
索引
admin
平成16年8月5日