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9 DCカルディオバージョン

心肺蘇生の手段がいろいろ開発されている現在であっても、適切なタイミングで行われる DCカルディオバージョンは最も効果的で、また患者への侵襲も少ない治療手段である。

9.1 早期除細動の意義

心肺蘇生のガイドラインでは、除細動が救命的な効果がある不整脈の患者29に対しては、可能な限り早く除細動を行うことを勧めている。

この理由としては、以下のようなことが挙げられている。

逆に、心室細動になってから4分間以上たった患者の場合、 3分以上の心臓マッサージを行ってから除細動を行ったほうが、 すぐに除細動を行うよりも成功率が高かった30という報告もある。


9.2 除細動のしかた

9.2.1 除細動の流れ

  1. パドルに電導ゼリーをつけた後、パドルを患者の胸に押し当てる。パドルの位置は、図15のように患者の心臓をはさむように当てる。
  2. 患者の不整脈に応じて、除細動のエネルギーレベル、同期をかけるかどうかを決める。成人では、心肺蘇生時には200、300、360Jのどれかしか用いない。
  3. 除細動器を充電する
  4. パドルの位置を確認し、大体10kg程度の力で患者の胸に押し当てる。こうすることで、パドルと皮膚との抵抗を下げることができる。
  5. "みんな離れて"と叫び、同時に患者周囲から他の人が離れたことを確認する。
  6. パドルの放電ボタンを左右同時に押し、除細動をかける。
  7. 患者の状態を見る。まだ波形が心室細動、あるいは心室頻拍であったならば、即座にエネルギーレベルを上げて再度除細動を行う。波形がはっきりしなかった場合は、まずは患者の脈拍を触れてみる。

図 15: パドルの当てかたの例。心臓をパドルではさむように当てられれば、どんな格好でもよい。 図のような当てかた以外にも、前胸部と背中で当てる方法もある。その方がより効果的といわれている。

\includegraphics[width=.5\linewidth]{dc.eps}

9.2.2 エネルギーの設定

心肺蘇生においては、除細動器のエネルギー設定は以下のとおり。


9.2.3 同期のモード

除細動器のモードについては同期モード、非同期モードの2種類があるが、 心室細動以外の不整脈では、心電図同期(QRSに合わせて通電)をかけた上で除細動を行う。

同期はR on TによるVT、VFの誘発を防ぐために必要となる。

しかし、心室細動の患者を同期モードで除細動しようとすると、どうやっても除細動がオンにならない。よく言われているミスではあるが、慌てているとやはりやってしまうので注意。


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admin 平成16年8月5日