喉頭展開をきちんと行っても声門が見えてこない場合は、とりあえず気道を確保するために何か他の手段を考える必要がある。
これらのデバイスは、いずれも喉頭展開や頚部の伸展が必要無く、盲目的な挿入が可能になるよう考えられている。
主に、自発呼吸がしっかりしている患者の短期間の手術、あるいは、COPAでとりあえず換気を行い、 その間に鼻から気管支鏡を用いて挿管を行う際などに、用いられる。
図3.3を参照。盲目的に挿入し、本来は食道に、本体が入ることを想定して作られている。どちらかというと、 手術中の麻酔の維持よりは、救命救急のために考えられたデバイス。ものすごく硬い作りをしている。
挿入は図3.4のように、喉頭展開をせずに行う。ほとんどの場合は食道に入り、1番目のチューブで換気が可能。 運良く気管に入ったら、2番目のチューブで換気する3.2。
このデバイスは、食道からの吐物も尖端のバルーンでブロックすることができ、また陽圧換気もできる。 自発呼吸の全くない患者にも使用でき、サイズも1種類でほとんどカバー可能、CPRにも使用可能であるなど、メリットは多い。 救急外来でも、下手な人間がいいかげんな挿管を行うよりは、よっぽどいいと思う。
食道の裂傷の報告があり、食道静脈瘤の患者などには禁忌とされている。 また、重積発作を生じた気管支喘息の患者に用いても、十分な換気が出来なかったという報告もある。
コンビチューブは、食道裂傷の可能性や、気管内サクションが出来ない欠点などがある。 この欠点を改良した製品が各社から発表されている。ラリンゲルチューブはそのひとつ。
特徴としては、喉頭展開せずに簡便に挿入できる、患者の頭側ではなく、足側に立っても挿入可能など。
挿入方法が独特なものの、慣れると数秒で挿入でき、気管挿管よりも迅速な気道確保が可能といわれている。
一方で嘔吐、誤嚥、溺水や、喘息重責発作など、気道内圧が高いことが予想される場合は禁忌。
気管挿管よりも簡単で、挿管までの時間が早いためか、救急隊が行う気道確保に、これを用いるところが増えている。 一方、サイズを合わせないとリークが増え、ちゃんとフィットしたマスクが選択可能な患者の数は7割程度であるという。
筋弛緩もかけてしまい、それでもなお挿管できないようなときはどうすべきか。このときはマスクによる換気に戻り、 もっとうまい人を呼ぶか、あるいは外科を呼んでもらう必要がある。
マスクの保持ができているなら、換気に際して困ることはまず無い3.3。
何らかの理由で、絶対に挿管が必要な場合は、輪状甲状靭帯より気道内に穿刺をし、ガイドワイヤーを口まで誘導した上で、 それを使って挿管する(図3.8)。
それでもだめなら外科的な気道確保を試みることになるが、いずれにしても一人ではできない。