一般に、IABPバルーンの位置は大動脈弓部の頂点である。
この位置が心臓側にずれて大動脈弁に近づくと、 脳に灌流している血管の血流量が低下し、神経症状を生じる可能性がある。
また、バルーンの位置が末梢側にずれると、今度はバルーンのインフレーション/デフレーションの タイミングが有効に伝わらなくなり、心臓に対する効果が落ちる。
さらに、バルーンの位置が腎動脈にかかった場合、尿量の低下や、場合によっては腎糸球体の 不可逆的な損傷を生じる可能性が指摘されている。一般には、バルーンの 位置の異常による尿量の低下は可逆的なものであると考えられている。
CABG後も、IABPはしばしば用いられる。
最近開発された、上行大動脈にも留置可能なIABPの使用が動物実験で報告されている。
バイパスグラフトや内胸動脈の血流量は、下行大動脈に留置したIABPでは変化せず、 上行大動脈にIABPを留置することで、はじめて有意な血流量の増加を確認できたという。