心臓周期と同期された大動脈カウンターパルセーションは、1969年に心原性ショック中の患者 ではじめて使用された。 このデバイスは心臓の収縮と同時にバルーンが収縮し、心臓が拡張期に入って大動脈弁が閉鎖すると同時に 拡張することで、心臓に以下のような血行力学上の効果を与える。
IABPの効果が一定しないにもかかわらず、心臓性ショックを持った大多数の患者の血行動態のプロフィールは、 好ましい方向に変化しうる。
文献で報告されている、血行動態上のメリットには以下のようなものがある。
さらに、大動脈内バルーンパンピングは収縮期圧を縮小し、アフターロードを下げることで、 計算上は左心室の壁応力を14%低下させうる。
アフターロードの低下、および壁応力の低下は、結果として心筋の酸素消費量の低下を生じる。
IABPは、冠動脈の血流を変化させる。 いくつかの研究では、冠動脈の血流の変化はほとんどなかったと報告されている。 一方、他の報告では、冠動脈血流量は増加したと報告されている。
この報告の差は、冠動脈血流量が、冠動脈血流量の自動調節能力の影響を受けること、 狭窄の程度によっては、IABPは冠状動脈の血流量を維持することができないことなどが原因と考えられている。
例えば、重大な狭窄(95%以上)を持つ患者の場合は、IABPによる 冠動脈血流量の改善効果が認められなかったと報告されている。
一方、PTCA後に狭窄が平均18%まで改善された後は、血流量は著しく増加したという。