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: 4 血行動態に与える影響 : IABPに関する話題 : 2 IABPの適応疾患   目次


3 IABPの作動原理

3.0.0.1 血液は心臓の拡張期に流れる

心筋は冠動脈からの血流で栄養されるが、心臓が収縮する関係上、血液は心臓の拡張期に流れる。

図 1: 心筋が収縮しているとき(上円)は血管はつぶれており血液は流れない。 心臓が拡張期に入ると(下円)血管も元の形に戻り、心筋に血液が流れる。

\includegraphics[width=.5\linewidth]{ka04ab02.eps}

何らかの原因で心筋への血液供給が十分でなくなると、胸痛や血圧低下、 梗塞といった心筋虚血に伴うさまざまな症状が出現する。

3.0.0.2 IABPは拡張期血圧を上昇させる

これを解決するには、大きく3つの方法がある。

  1. 冠動脈に狭窄がある場合、それをもとに戻す。CABGやPTCAがこれにあたる。
  2. 脈拍数を下げること拡張時間は延長(図2)し、心筋血流は増える。 狭心症の$ \beta $遮断薬の効果はこれである。
  3. 拡張期血圧を上昇させればそのぶん冠動脈血流は増える。ただし、強心剤を用いると心筋酸素需要も増えてしまう。

図 2: 脈拍数に関係なく、心臓の収縮時間は大きな変化をしない。このため、心拍数が早い状態(下)に 比べて、心拍数が減少した状態(上)では拡張期の時間が増え、心筋への血液供給は増加する。

\includegraphics[width=.4\linewidth]{ka04ab04.eps}

IABPは主に3番目の作用を利用して、心筋への血液供給を上昇させている。 血圧の上昇はバルーンによる機械的なものなので、血圧は上がるにもかかわらず、心筋酸素消費量は むしろ低下する。


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admin 平成17年3月19日