医師同士の協力関係が欠除したり、チームの協調性が低下したりすると、医師の知識や、技量の程度にかかわらず、 医療事故がおきやすくなります。
患者を取り違えて手術を行ってしまった事例がありましたが、主治医、麻酔をかける医師、患者を搬送したナース、 執刀医のいずれもが、エラーを訂正し、深刻な事故を回避できる立場にありました。
おそらくは時間的なプレッシャー、 手術室と病棟との確執、執刀医の決断に対する遠慮などが原因となり、 チームのエラー訂正機能がうまく作動できなくなっていたのでしょう。 結果として、単純な患者の取り違えが、事故になってしまっています。
もちろん、最初に起こったエラーは、誰かの不注意によるものなのかもしれません。しかし、事故の責任を、最初の一人に 押し付け、"トカゲの尻尾切り"をするのは不公平です。医療過誤の責任は、末端の者にだけではなく、 ちゃんとエラーを訂正できるチームを作ることが出来なかった、チームリーダーにもあると思います。
昔ながらの優れたリーダー、黙って完璧に仕事をこなすタイプのリーダーは、 優秀なのかもしれませんが、チームのエラー訂正能力を引き出す面では効率が悪い、と思います。
こうした「男らしい」リーダー像よりも、普段は「頼りないおしゃべり」と思われるぐらいのリーダーのほうが、 チームとしての力を引き出すには、効率がいいのではないでしょうか。