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チームの和が乱れると事故がおきる

医師同士の協力関係が欠除したり、チームの協調性が低下したりすると、医師の知識や、技量の程度にかかわらず、 医療事故がおきやすくなります。

患者を取り違えて手術を行ってしまった事例がありましたが、主治医、麻酔をかける医師、患者を搬送したナース、 執刀医のいずれもが、エラーを訂正し、深刻な事故を回避できる立場にありました。

おそらくは時間的なプレッシャー、 手術室と病棟との確執、執刀医の決断に対する遠慮などが原因となり、 チームのエラー訂正機能がうまく作動できなくなっていたのでしょう。 結果として、単純な患者の取り違えが、事故になってしまっています。

最初にミスした人に全責任は無い

もちろん、最初に起こったエラーは、誰かの不注意によるものなのかもしれません。しかし、事故の責任を、最初の一人に 押し付け、"トカゲの尻尾切り"をするのは不公平です。医療過誤の責任は、末端の者にだけではなく、 ちゃんとエラーを訂正できるチームを作ることが出来なかった、チームリーダーにもあると思います。

チームの質と、起こりうるエラーの間には明確な関係がある

航空機パイロットの実験で、こんなものがあります。

  1. 一方のグループは、フライト前に十分な休養を取った、一緒に乗務したことのない組み合わせ、 もう一方は、ついさっきまで一緒に仕事をしていたもの同士の組み合わせを用意します。

  2. 両グループにフライトシミュレーターによるテストを受けてもらうと、ミスの総数は似たようなものであったものの、 致命的なミスは、休養を十分取った、初対面同士のグループのほうが多かったといいます。

  3. 乗務経験の多い副操縦士は、機長と違う意見を述べることが多く、経験の浅い、従順な副操縦士のほうが、機長をいらだたせることが多かったそうです。

"男は黙って…"タイプのリーダーはミスが多い

昔ながらの優れたリーダー、黙って完璧に仕事をこなすタイプのリーダーは、 優秀なのかもしれませんが、チームのエラー訂正能力を引き出す面では効率が悪い、と思います。

こうした「男らしい」リーダー像よりも、普段は「頼りないおしゃべり」と思われるぐらいのリーダーのほうが、 チームとしての力を引き出すには、効率がいいのではないでしょうか。


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admin@WORKGROUP 平成14年11月13日