僧帽弁狭窄症については、以前から定量的な評価法が確立している。
単軸断で僧帽弁を描出し、僧帽弁が一番狭く見えるところで弁口面積を実測する。
正しい断面で評価しないと、僧帽弁の面積は過大に評価される(図3.1)。
弁口面積が1.5 以上あれば、血行動態的には大きな障害はないといわれている。
pressure half time (PHT)とは、左房-左室の圧較差が 1/2 になるまでの時間 3.1である。
僧帽弁狭窄では、重症例ほど左室と左房の間の圧較差は高度であり、 その変動は拡張期を通じて小さい。よって、拡張期の血流速度波形の傾きが緩やかなほど弁狭窄の程度 は強い。
正常では60 msec 程度。MS ではほとんど150 msec 以上。MS が高度になるほど延長する。
僧帽弁口面積は
pressure half time 法は経験的に求められた式であり、 左室のコンプライアンス、後負荷、前負荷などの影響を受ける。
具体的には心拍数が増えるとPHTは短縮し、弁口面積は大きく計算される、ARがあると左室圧が 急に上昇するためPHTが短縮し、やはり弁口面積が大きくなる。MRがあっても同様である。
したがって、必ずしも正確な測定をしているわけではないことに注意が必要である。
大まかなフローチャートを以下に示す。
以下のようなケースで、PTMCの適応が外れるものが手術の適応になる。
僧帽弁狭窄症に限っては、経皮的なバルーンを用いた治療も有効とされる3.2。
この手技の適応としては、僧帽弁病変が比較的軽度で、前交連、後交連の癒着にあまり差がなく、 さらに左房内血栓を認めない症例である。