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1 気道内圧曲線

時間ごとの気道内圧の変化をグラフにしたもの。

正常では、0mmHgあるいは設定したPEEP圧から時間とともに圧が上昇、吸気末期でピーク圧になり、 呼気とともに圧力は低下。呼気終末には最初の圧と同じに戻る。

\includegraphics[width=.9\linewidth]{pres_time.eps}

  1. 波形の最初が陰圧側に振れるのは、患者の自発呼吸である。これが大きいと、患者の呼吸仕事が大きい。
  2. 波形の立ち上がり方を見ることで、患者がどんな換気モードで管理されているのか分かる。
  3. 波形のピークは、吸気終末である。ここが尖っていないか注意する。
  4. 呼気とともに気道内圧は下がり、最終的にはPEEP圧に戻る。

1.1 陰圧の振れ方が大きい場合

呼吸の開始を患者自身が決定している場合、吸気の最初に気道内はわずかに陰圧になる。

この陰圧を感知して、人工呼吸器は換気の補助を開始する。

図 1: 気道内圧曲線。
\includegraphics[width=.7\linewidth]{Pruitt-fig1.eps}

1のAの波形は患者自身のトリガーで呼吸しており、Bの波形は完全な機械換気の波形である。

一方、Cの波形は陰圧部分が極端に大きい。これは、患者の自発呼吸を感知するトリガーの感度が低すぎる場合に見られる。

トリガー感度を上げたり、あるいはフロートリガーなどのより精密なトリガー形式に変更することで、患者の呼吸努力を 減らすことができる。

1.2 気道内圧の立ち上がりかた

流量曲線のほうがより見やすいが、気道内圧曲線の立ち上がり方を見ても、患者がどんな呼吸管理を受けているのか 推定できる。図2の左側が従来型の人工換気、右側が気道内圧一定のPCVの波形であるが、以下のような違いが分かる。

図 2: 左がVCV、右がPCV。両方とも1回換気量は同じ。真ん中2呼吸は、プレッシャーサポートによる自発呼吸。
\includegraphics[width=.7\linewidth]{pres_time2.eps}

1.3 ピーク気道内圧が尖っている場合

患者の状態に対して1回換気量が多すぎた場合、肺は過剰に伸展される。

このとき、換気量がそれほど大きくならないのに、気道内圧が急速に上昇するのが観察できる。

3のように、ピーク気道内圧の頂点が尖っている場合、1回換気量が多すぎる可能性がある。

図 3: 換気量過剰の波形。ピーク気道内圧の頂点が尖っている。
\includegraphics[width=.5\linewidth]{pres_overdist.eps}

1.4 呼気終末に元の圧に戻らない場合

喘息患者やARDSの患者など、気道の状態が悪い患者では吸気をいつまでも吐き出すことができず、気道内圧が測定値以上に 上昇してしまう。この状態をAUTO-PEEPというが、放置すると危険である。

気道内圧曲線や、気道内流速曲線を観察すると、解除されていないAUTO-PEEPを見つけることができる。

図 4: 喘息患者の例。呼気が終わっても気道内圧がゼロに戻っていない(矢印)
\includegraphics[width=.5\linewidth]{pres_instpeep.eps}

また、自発呼吸のない患者の場合は、患者の呼吸が終わった直後に呼吸器回路を閉鎖する(図5)と、 内因性PEEPの圧を測定することができる。

図 5: 換気終了後に回路をふさぐと、気道内圧がわずかに上がる(PEEPtot)。 この圧からPEEP圧を引くと、内因性PEEPを求められる。
\includegraphics[width=.7\linewidth]{PEEPi.eps}


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admin 平成16年11月12日