ホームページに戻る
: 2.4 インスリンによる厳格な血糖コントロール
: 2. 現在有効といわれている治療
: 2.2 新しい敗血症治療のターゲット
目次
いくつものトライアルで、重篤な敗血症の患者ではプロテインC が減少していることがわかっている。
さらに、動物実験では、大腸菌の注入による敗血症モデルに対して活性化プロテインCを補うと、生命予後が
改善することが報告されている。
活性型プロテインC には、多くの働きがある(図2.2)。
図 2.2:
プロテインC の働き。左から炎症反応抑制作用、抗凝固作用、線溶作用。
|
- プロテインCは第Va因子、第V I I Ia因子の働きを抑制し、血栓生成を阻害する。
- プロテインCはまた、線溶系を亢進させて血栓溶解作用を持つ。
- さらに、IL-6の活性低下、炎症性サイトカインの減少を介して抗炎症作用を持つ。
こうした活性型プロテインCの効果は、実際の臨床試験 [#!Sepsis:9!#]でも証明されている。
1690名の敗血症患者
敗血症患者に対して、通常の治療に加え、活性型プロテインC (24g/kg/h)またはプラセボを投与し、
96時間続行。その後は通常の加療を続け、28日目の予後を比較した。
総死亡率は、活性型プロテインCを用いた群で24.7%であったのに対し、プラセボ群で30.8%であった。
活性型プロテインCによる死亡率の低下は、19.4%となった。一方、出血による合併症は、プロテインCを用いた群で3.5%、
プラセボ群で2.0%であった(図2.3)。
図 2.3:
予後の比較。プロテインCを用いた群のほうが、28日目の時点での生存率が高かった。
|
敗血症患者で凝固系が亢進していることは、以前から観察されていた。このため、ヘパリンやAT-I I I
といった抗凝固薬が敗血症に対して用いられてきたが、予後の改善を証明したものは無かった。
こうした薬物に対して、活性型プロテインCのみが予後改善効果を示した理由としては以下のものが考えられている。
- 活性型プロテインC は他の凝固薬とは作用する部位が違う
- 本剤には抗凝固効果とともに、細胞のアポトーシスを抑制する効果がある
ホームページに戻る
: 2.4 インスリンによる厳格な血糖コントロール
: 2. 現在有効といわれている治療
: 2.2 新しい敗血症治療のターゲット
目次
admin
平成16年11月12日