敗血症の患者においては、血糖値の上昇はよく見られる。これは従来、敗血症によるストレスに対する 反応と考えられ、血糖値が200台にならなければ特に厳密にコントロールはなされなかった。
ICUに入室中の患者の血糖コントロールには従来からインスリンが用いられてきたが、このときの血糖コントロールの目標値をより低いものに設定するだけで、 敗血症患者の生命予後が改善することが報告されている [#!Sepsis:8!#]。
人工呼吸器のついた外科系ICUに入室した患者1548名
この2つの群で、ICU入室中の予後を比較した。
従来どおりの血糖コントロールを受けた群の死亡率は8.0%、厳格な血糖コントロールを受けた群では 死亡率は4.6%と低下した。特に敗血症を合併していた患者においては、従来の血糖管理群の死亡率が 29.5%であったのに対して厳格コントロール群で12.5%と死亡率の著明な低下が見られた。
厳格な血糖コントロールは、病院内での死亡率を34%、菌血症の機会を46%それぞれ有意に低下させた。
厳格な血糖管理を行った患者群では、ほぼ全例にインスリンの持続静注が行われている。 敗血症患者の生命予後がインスリンで改善する機序はよく分かっていないが、以下のようなことが考えられている。