正常な人の気道内分泌物の排除は
大きな気道は軟骨を持ち、周囲の圧力変化に対しても潰れることなく咳による痰の排出を促す。 一方小さな気道は軟骨を持たないため、これらはその気道内圧で形を保ち、 分泌物の排出は、主に線毛運動の力により行なわれる。
粘膜運動による、この異物の排出作用は粘膜エスカレーターと呼ばれ、末梢気道ほどその作用が強い。 空気の動きはほとんどこの作用に関与せず、咳が主に空気圧を利用して、異物を排出するのと対照的である。
まず吸気をすることで、肺の容積が増大する。その後喉頭が閉鎖し、呼気筋が急激に収縮する。
このため胸腔内圧は急激に上昇する。呼出期に入ると喉頭は開放され、胸腔内圧は大気圧と同じ値にまで下がり、 空気が呼出される。この時の空気のスピードは、実に音速の3/4にも達する。
この力は、単に分泌物を口のほうへ運び出すだけでなく、分泌物を気道から引き剥がすのにも役に立つ。
これら粘液エスカレーターの力と、咳の力とで痰は排出されるが、これらのバランスが崩れると、 分泌物排出の力は落ちてくる。