呼吸困難感に対して呼吸補助を行なう方法は、その患者の状態が、ほとんど正常なものから、 呼急停止を生じているものまで様々である。患者の状態に対して、どのような換気補助を行なうべきかを以下に示した。
呼吸不全の状態は、以下の5つに大きく分けられる。
同じように、換気の補助方法にも酸素のみの供給、非侵襲的換気補助、挿管による人工換気、ECMOや肺移植など、 大きく4つに分けられる。しかし、どの程度の呼吸困難に、どの程度の換気補助を用いるのかに決まりはなく、 多くは経験的なものである。
非侵襲的換気の利点は、それが単なる酸素供給のみよりも高いレベルの換気補助ができ、 なおかつ気管内挿管を避けることができるという点である。
非侵襲的換気は、呼吸不全の患者に幅広く適応できる可能性を持っている。
この装置は、単なる酸素供給のみを受けている患者で、 よりレベルの高い換気補助を行なうことでより大きな利益を得られる患者から、 酸素のみでは換気補助が十分でない患者にまで使用できる。
一方で、気管内挿管の欠点としては、
これらのリスクと得られる利益のバランスを考えた上で、どちらの人工換気を選ぶべきかを考える。
非侵襲的換気は、もっぱら、COPDや心不全などによる呼吸不全の治療に用いられている。
このため、手術後に抜管した患者の呼吸不全に対して、この換気装置が使えないかという点には興味がもたれる。
こうした患者に一時的に、あるいは夜間のみに非侵襲的換気を用いることで、呼吸不全が回復し、 気管内挿管を回避でき得ると考えられる。
手術後患者のほとんどは、抜管して人工換気をやめれば、すぐに自力での呼吸ができるものである。
しかし一部の人は、自発呼吸が戻った後も何らかの補助がなくては換気ができず、 このために呼吸器の様々なモードが考えられている。
非侵襲的換気は、こうした患者が、自分の力だけで呼吸する助けになる可能性がある。
手術後は、できる限り早期に抜管した方が合併症が少なく、患者も快適であり、 さらに合計のコストも安くなることが明らかになってきている。
非侵襲的換気装置を用いることで、そうでない時よりも抜管の時期を早められる可能性がある。