2.3 甲状腺機能亢進症

2.3.1 甲状腺機能亢進症の治療

2.3.1.1 抗甲状腺薬

• プロピルチオウラシル(PTU)とメチマゾール(MMI)がある
• PTUは甲状腺ホルモンの産生を抑えるだけでなく、末梢でのT$_{4}$からT$_{3}$への変換を抑える 働きをもつ。このため重篤な甲状腺中毒ではPTUが第一選択となる。
• MMIは半減期が長く、投与回数が少なくてすむため長期投与に向く。
• どちらの薬剤も無顆粒球症の副作用があるため、発熱を生じたら最低限CBCをチェック。

2.3.1.2 重篤な甲状腺中毒

• 発熱
• 興奮などの精神症状
• 頻脈
• 心不全を合併することもある
• 甲状腺の腫大、腫瘤を触れる
• TSHの減少とフリーT$_{4}$、T$_{3}$の上昇

2.3.1.2.1 治療

抗甲状腺剤とステロイド $\longrightarrow$ヨード製剤の順で用いる

• 甲状腺ホルモンの産生阻害
  • PTUを400-600mg、経口あるいはNGチューブから投与
  • 嘔吐している患者なら、MMIの静注製剤を 1回30mg、8時間おきに投与
• 貯蔵甲状腺ホルモンの分泌抑制
  • ヨード製剤の静注^2.5あるいは経口
  • ヨード造影剤250mg^2.6を6時間おきに静注するか、ルゴールを10滴8時間おきに経口投与
  • 必ず1時間以上前に抗甲状腺剤を投与してからヨードの投与を行う
  • デキサメサゾン 2mgを6時間おきに静注するか、ハイドロコーチゾン100mgを6時間おきに静注
• 脈拍の抑制
  • プロプラノロール^2.7などの
  • 何らかの$\beta$遮断薬を用いて脈拍のコントロールを行う
  • 緊急時は、インデラル注を1mg/min から開始し漸減する

2.3.1.3 亜急性甲状腺炎

• ウィルス感染やアミオダロンなどの薬物投与に続発。
• 甲状腺の痛みと急性発症の甲状腺機能亢進症状を呈する。
• 2-4ヶ月で治癒。

2.3.1.3.1 治療

• 軽症例では鎮痛薬のみ。
• 発熱と疼痛が著明な例ではPSL 30mg/日を2週間ごとに減量。
• CRPと赤沈が高値になる。