患者の気道確保のポジションと気管挿管を施行しやすいポジションとは違う。 正しい挿管体位のメルクマールとして、「耳介の高さと、胸骨切痕の高さとを一致させる」 やり方が提案されている。
肥満体であったり、胸郭の前後径が大きな患者さんに挿管を行うときには、だから体全体を持ち上げるような 姿勢をとらないと、挿管が難しくなる。
正常安静時の気道には、喉頭の軸と咽頭の軸の2本の軸がある(図2.3)。平らな板の上で寝ていたり、 または気道の確保を行うときなど、頚椎が過伸展されたときには、これらの軸はずれている。喉頭展開を行っても声門は見えない。
このままの姿勢で挿管を試みると、たいてい失敗する。 ここで患者の首の下に枕を入れてやると、喉頭と咽頭の軸が一致して、声門を見ることが出来る(図2.4)。
正しいポジションが取れていれば、喉頭展開を行うと、直視下に声門を確認できる(図2.5)。