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2.2 肩枕の使いかた

2.2.0.1 気道確保のポジションと、気管挿管を施行しやすいポジションは違う

喉頭鏡を用いた気管挿管の成否は、術者の技量以上に患者の体位により左右される。 患者の頭が適切な位置に置かれれば、挿管は思いのほか容易であるが、 一方不適切な体位では、誰がやっても挿管チューブは声帯を越えない。

図 2.1: 気道確保と気管挿管の違い
\includegraphics[width=.5\linewidth]{position.eps}

患者の気道確保のポジションと気管挿管を施行しやすいポジションとは違う。 正しい挿管体位のメルクマールとして、「耳介の高さと、胸骨切痕の高さとを一致させる」 やり方が提案されている。

図 2.2: 耳介の高さと胸骨切痕の高さ
\includegraphics[width=.6\linewidth]{faceposition.eps}

肥満体であったり、胸郭の前後径が大きな患者さんに挿管を行うときには、だから体全体を持ち上げるような 姿勢をとらないと、挿管が難しくなる。

2.2.0.2 解剖のこと

正常安静時の気道には、喉頭の軸と咽頭の軸の2本の軸がある(図2.3)。平らな板の上で寝ていたり、 または気道の確保を行うときなど、頚椎が過伸展されたときには、これらの軸はずれている。喉頭展開を行っても声門は見えない。

図 2.3: 安静時の気道の断面
\includegraphics[width=.4\linewidth]{soukanmae.eps}

このままの姿勢で挿管を試みると、たいてい失敗する。 ここで患者の首の下に枕を入れてやると、喉頭と咽頭の軸が一致して、声門を見ることが出来る(図2.4)。

図 2.4: 肩枕を入れたときのの気道の断面
\includegraphics[width=.4\linewidth]{katamakura.eps}

正しいポジションが取れていれば、喉頭展開を行うと、直視下に声門を確認できる(図2.5)。

図 2.5: 喉頭展開
\includegraphics[width=.4\linewidth]{tenkai.eps}


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