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経験をつんでもミスは減らせない

経験に応じて仕事は増える

卒業したての研修医に比べれば、訓練をつんだ医師は、ミスを生じる可能性が大幅に減少します。 勤務条件が一定であれば、研修を重ねた医師のほうが業務になれており、医療ミスをおかす可能性は減るでしょう。

ところが、我々の現場は、経験の高い医師ほど負担が増えます。訓練の結果、人の2倍のスピードで外来をさばけるように なった医師のところには、技量の低い医師の2倍の患者がやってきます。単純計算は出来ないものの、 事故の起こる確率は2倍です。これでは、いくら経験をつんでも、安全性は向上しません。

実際問題、マスコミに報道されるような医療事故は、経験年数の高い医師が起こしているものも多いのです。

日本の医師数は不足している

安全性の話題を論じる場合には、日本の医師の数は極端に不足している、というべきです。 「医師全体のレベルアップをすればいい」という議論がありますが、ナンセンスだと思います。 今まで何十年にもわたって、皆がレベルアップのための努力をしています。 最初から、出来の悪い医者になろうと考えている人などいません。

何か、特別な研修をすれば安全性は向上するといった意見1.1もありますが、 こういった試みが、劇的に医療界を変えるとは思えません。

医学も、科学の端くれです。 魔法はけっして起こりません。


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admin@WORKGROUP 平成14年11月13日