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3.5 大動脈弁閉鎖不全症

3.5.1 カラードップラーを用いた評価

3.5.2 pressure half time

連続ドップラーで測定した大動脈弁閉鎖不全の pressure half time が600msec 未満の症例は、 重症の大動脈弁閉鎖不全と判定しうる。

この値が1100msec以上で軽症、600〜1100msecで中等症、それ以下で重症である。

この所見は簡単ではあるが、以下のような問題点がある。

3.5.3 vena contracta

カラードップラー法による逆流重症度の評価は、逆流全体の広がり方よりも、 逆流ジェットの噴出部直下の最も幅の狭い部分(vena contracta)の幅で評価するほうが正確といわれている。

図 3.8: 大動脈弁閉鎖不全でのvena contracta

\includegraphics[width=.5\linewidth]{venacontracta2.eps}

この幅が3mm程度であれば、加齢に伴う変性により生じた血行動態に問題のないARと診断してよい。 2方向から見て、この幅(図3.8)が6mm 以上あった場合には重症の大動脈弁閉鎖不全と判断される。

3.5.4 PISAを利用した方法

僧帽弁の場合と同じく、PISA法を用いた大動脈弁閉鎖不全の評価も可能である。

この場合、EROが0.3$cm^2 $以上で重症の逆流と評価する。

3.5.5 手術の適応

以下の表のとおり。心機能低下、左室拡大の有無で手術の適応が決まる。

\scriptsize\par\leftmargini=1zw
\STRUCT{大動脈弁閉鎖不全}{}{
\CASE{左室EF、LVDd..
...{左室機能が低下}{\ACTION{手術を考慮}}
}
\ENDCASE
}%
\normalsize\leftmargini=2zw

大動脈弁閉鎖不全の症状の進行は早く、 狭心症出現後は4年、心不全出現後は2年以内が手術の適応になるといわれている。

以下の例は、手術の適応がある。

  1. 大動脈弁閉鎖不全に特有の自覚症状がある症例
  2. 慢性心不全の症状がある症例
  3. EF55%以下の症例
  4. 心房細動の出現した症例

一方、手術を行っても心機能の改善が期待できない症例としては、以下のようなものが挙げられる。 こうなってしまう前に手術を考慮する。

  1. LVDs 55mm以上
  2. EF50%以下の症例
  3. 8METs 以下の運動耐容能
  4. 18ヶ月以上続く心機能低下症例


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admin 平成16年12月16日