連続ドップラーで測定した大動脈弁閉鎖不全の pressure half time が600msec 未満の症例は、 重症の大動脈弁閉鎖不全と判定しうる。
この値が1100msec以上で軽症、600〜1100msecで中等症、それ以下で重症である。
この所見は簡単ではあるが、以下のような問題点がある。
カラードップラー法による逆流重症度の評価は、逆流全体の広がり方よりも、 逆流ジェットの噴出部直下の最も幅の狭い部分(vena contracta)の幅で評価するほうが正確といわれている。
この幅が3mm程度であれば、加齢に伴う変性により生じた血行動態に問題のないARと診断してよい。 2方向から見て、この幅(図3.8)が6mm 以上あった場合には重症の大動脈弁閉鎖不全と判断される。
僧帽弁の場合と同じく、PISA法を用いた大動脈弁閉鎖不全の評価も可能である。
この場合、EROが0.3以上で重症の逆流と評価する。
以下の表のとおり。心機能低下、左室拡大の有無で手術の適応が決まる。
大動脈弁閉鎖不全の症状の進行は早く、 狭心症出現後は4年、心不全出現後は2年以内が手術の適応になるといわれている。
以下の例は、手術の適応がある。
一方、手術を行っても心機能の改善が期待できない症例としては、以下のようなものが挙げられる。 こうなってしまう前に手術を考慮する。