: この文書について...
: CPAPマスクを用いた肺水腫の治療
: 急性期心不全に対する、CPAPの臨床的効果
  目次
CPAPマスクは現在、睡眠時無呼吸症候群の治療手段としてのみ、慢性期使用が認められているのが現状である。
このため、心不全の慢性期に置けるCPAPマスクの効果はCheyne-Stokes呼吸(CSR)
を合併した心不全の患者においてのみ、行なわれている。
Cheyne-Stokes呼吸を合併した心不全患者は予後が悪く、また、心不全の改善とともにこうした呼吸は軽減すること、
さらに、拡張型心筋症の末期の患者では、3人に1人近くにCheyne-Stokes呼吸が見られることは、
古くから観察されていた。
こうした患者に対して、CPAPマスクを夜間に行うと、気道の閉塞がないにもかかわらず、呼吸状態の改善が得られる。
図 7:
睡眠時無呼吸症候群用の、鼻CPAPマスクの例。太い鼻カヌラのようなものを、呼吸器の蛇管につないでいる。
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CSRを合併した心不全に対して、夜間にCPAPマスクを施行することにより、
- LVEFが平均21.2%から1カ月後には24.9%、3カ月後には28.9%に上昇した
- 尿中の平均ノルエピネフリン濃度が減少した
- 僧帽弁を逆流する血液量の減少も確認され、左室の大きさの減少が示唆された
といった、
CPAPマスクの慢性的な使用に肯定的な意見8も数多く出されている。
しかしその一方では、やはりCheyne-Stokes呼吸を合併した、心不全の安定期にCPAPを負荷すると、
かえって心機能が悪くなったとする反対意見も報告されており、治療の対象とする患者の選択、
治療期間、用いる圧力の調節など、この分野はまだまだ分かっていないことが多く、今後の研究が待たれる。
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Administrator@WORKGROUP
平成14年8月8日