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: この文書について... : CPAPマスクを用いた肺水腫の治療 : 急性期心不全に対する、CPAPの臨床的効果   目次


CPAPの慢性期効果

まだ効果ははっきりしていない

CPAPマスクは現在、睡眠時無呼吸症候群の治療手段としてのみ、慢性期使用が認められているのが現状である。 このため、心不全の慢性期に置けるCPAPマスクの効果はCheyne-Stokes呼吸(CSR) を合併した心不全の患者においてのみ、行なわれている。

Cheyne-Stokes呼吸を合併した心不全患者は予後が悪く、また、心不全の改善とともにこうした呼吸は軽減すること、 さらに、拡張型心筋症の末期の患者では、3人に1人近くにCheyne-Stokes呼吸が見られることは、 古くから観察されていた。

こうした患者に対して、CPAPマスクを夜間に行うと、気道の閉塞がないにもかかわらず、呼吸状態の改善が得られる。

図 7: 睡眠時無呼吸症候群用の、鼻CPAPマスクの例。太い鼻カヌラのようなものを、呼吸器の蛇管につないでいる。

\includegraphics [width=.6\linewidth]{cpapcanula.eps}

CSRを合併した心不全に対して、夜間にCPAPマスクを施行することにより、 といった、 CPAPマスクの慢性的な使用に肯定的な意見8も数多く出されている。

しかしその一方では、やはりCheyne-Stokes呼吸を合併した、心不全の安定期にCPAPを負荷すると、 かえって心機能が悪くなったとする反対意見も報告されており、治療の対象とする患者の選択、 治療期間、用いる圧力の調節など、この分野はまだまだ分かっていないことが多く、今後の研究が待たれる。 9



Administrator@WORKGROUP 平成14年8月8日