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2.1 血糖値が高い

2.1.0.1 入院患者は全例インスリンを使用する

入院中の患者は、食欲の有無や発熱、点滴製剤などで、血糖値が大きく左右される。 経口血糖降下剤は細かい調節が全く効かないため、入院中の患者では低血糖等の 合併症が増える可能性がある。

このため糖尿病の患者が急性期疾患で入院した際は、原則としてインスリンによる血糖管理に切り替える。


2.1.0.1.1 インスリン導入の原則

  1. 最初の3-4日ほどは、血糖4検+スライディングスケールにより血糖をコントロールするとともに、1日に必要なインスリンの単位数の目安をつける。
  2. 血糖のコントロールがつき、1日に必要なインスリンの単位数が大体分かったら、その総量の2/3を朝に、1/3を夕食前に振り分けて持続型インスリンの2回打ちにする。
  3. その後、朝の血糖値が高かったら夕のインスリンを増量、夕のインスリンが高かったら朝のインスリン量をそれぞれ増量して血糖コントロールを行う。
  4. 退院時、1日に必要なインスリン量が15単位以内であれば、たいていは経口血糖降下薬に変更可能である。


2.1.0.1.2 スライディングスケールのかけかた

普通に血糖値の高い患者で、ショックになっていたりしていなければ、インスリンの皮下注射による スライディングスケールを行う。

血糖値を1日4回測定(典型的には、6時、11時、17時、21時)し、 その値に応じてヒューマリンRを皮下注射する。


表 2.1: 皮下注によるスライディングスケールの例。これに、21時のヒューマリンNの皮下注を加える。

血糖値 ヒューマリンR
350- 8-10単位
300-349 8単位
250-299 6単位
200-249 4単位
200以下 0単位


大事なのは眠前(21時頃)に少量のヒューマリンNを皮下注射することで、これを行わないと、夜間の血糖コントロールができない。朝6時の血糖を120程度に下げることを目標に、2-4単位を皮下注する。


2.1.0.1.3 インスリン量の調節のしかた

  1. スライディングスケールで血糖値が安定したら、1日に必要なインスリンの全単位数のうち2/3を朝食後、1/3を夕食後の2回に分けて皮下注する。
  2. 朝食前のインスリンは持続型インスリン:レギュラーインスリンが7:3で混合したもの2.1を用いる。
  3. 夕食前のインスリンは5:5で混合したものを用いるのが理想2.2
  4. 最初この量で開始し、血糖値を見ながらインスリンの量を調節する。

\begin{table}[htbp]
\par\scriptsize\leftmargini=1zw
\STRUCT{インスリンの調節}{混...
...量
\end{itemize}}
}
\ENDACCEPT}
\ENDIF}%
\normalsize\leftmargini=2zw
\end{table}

2.1.0.2 手術中の患者のインスリン補充

2.1.0.2.1 I型糖尿病

I型糖尿病患者は、全身麻酔の手術中は5%ブドウ糖水1000mlにKCl 20meqを溶解し、100-200ml/hのスピードで静注、同時にレギュラーインスリンを1-3単位/hの速度で静注する。

患者の血糖値は1時間ごとに測定し、血糖値を120-190の間に維持するようインスリンの静注速度を調節する。

2.1.0.2.2 I I型糖尿病

大きな手術の際には、I I型糖尿病の患者もインスリンの補充を受ける必要がある。この場合、1000mlの5%ブドウ糖水に20meqのKClと10単位のレギュラーインスリンを加えたものを100ml/hの速度で持続点滴する。

全身麻酔を必要としないような手術の際は、経口薬の続行または皮下注射のインスリンで血糖コントロールをはかる。


2.1.0.3 糖尿病性ケトアシドーシス

2.1.0.3.1 鑑別診断

2.1.0.3.2 検査データ

2.1.0.3.3 治療


表 2.2: 血糖値に応じたKCl混和量
血液中K濃度 KCl混和量(mEq KCl/L)
$>$5.3 加えずに輸液続行
5.0-5.3 10
4.5-5.0 20
4.0-4.5 30
3.5-4.0 40
$<$3.5 40



2.1.0.3.4 インスリン持続静注によるスライディングスケール

患者の意識状態が悪くなるほど血糖が高いとき、ショック状態やアシドーシスになっているときなどは、 網細血管が収縮しているため、インスリンを皮下注しても吸収されない。

こうした場合にはシリンジポンプによるインスリンの持続静注を行うが、 落ち着くまでは、最低2時間おきの血糖チェック、6時間おきの血中K濃度のチェックが必要になる。

静注する製剤は、ヒューマリンRを50単位、生食50mlに溶解したもの(1ml=1単位)を用いる。


表 2.3: 持続静注のスライディングスケールの例。緊急に血糖コントロールをつける場合は、 最初にヒューマリンRを10単位静注してから持続静注にする。

血糖値 静注量
80以下 1.0ml/h
81-120 1.5ml/h
121-150 1.7ml/h
151-180 2.0ml/h
181-200 2.2ml/h
201-220 2.5ml/h
221-250 3.0ml/h
251以上 3.5ml/h



2.1.0.4 高浸透圧性昏睡

2.1.0.4.1 治療

脱水の補正とインスリン静注を行う。


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admin 平成16年8月5日