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: 2. 気管挿管の方法 : 1. 気道確保の方法 : 1.2 呼吸停止の判定   目次


1.3 バッグ=マスク換気

1.3.0.0.1 気道確保の基本

気道の確保を行っても自発呼吸が回復しない場合、人工呼吸を行う。

口対口の人工呼吸は感染の危険が大きく、勧められない。 院内であればどこでもアンビューバッグがあるため、こちらを用いた換気を施行するほうが理にかなっている。

図 1.5: マスクの保持と気道確保
\includegraphics[width=.5\linewidth]{bagmask.eps}

マスクと顔面との密着をはかると同時に、気道をしっかりと確保しなくてはならない。 マスクの保持と同時に気道を確保するのは意外に難しい。

基本は写真1.5のとおりであり、片手で下顎引き出し法を行いつつマスクを保持する。

手の小さな人では両方をいっぺんにやるのは難しい。マスクの保持が難しいときには、 術者の顎をマスクに当てて、顔面とマスクとの密着をはかるか、 マスクの保持とバッグもみを2人がかりで行うとうまくいく。

図 1.6: 術者2人で行う換気
\includegraphics[width=.6\linewidth]{twoperson.eps}

バッグ=マスクによる換気が正しく行われると、600ml近くの空気が肺内に入る。胸郭が5cmぐらい上昇する。 胸郭の動きが外からわからないような換気では意味が無く、上手な人がマスク換気を行えば、 そのまま全身麻酔の手術もできる1.1

1.3.0.0.2 口=バッグ=マスク換気

アンビューバッグを用いた換気はマスクの保持が難しく、また胃内に空気が入ってしまい、誤嚥を生じる可能性がある。

また、バッグ押して換気する方法には以下のような欠点もある。

これらはアンビューバッグの操作に慣れることで回避できる問題ではあるが、 こうした欠点を解消できる可能性のある、新しいアンビューバッグが提案されている(図1.7)。

図 1.7: マスク上方のマウスピースから術者の呼気を吹き込むと、バッグ内の空気が患者に送られる
\includegraphics[width=.6\linewidth]{bagmouth.eps}

この方法により、従来のアンビューバッグに比べて以下のような利点が生じる。

この新型のマスクは、従来のアンビューバッグと同様、バッグを押しての換気もでき、リザーバーバッグを使用することで、 100% 酸素の投与も可能であるという。


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