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9 合併症

IABPに関連した合併症は、血管性、非血管性の2種に分類できる。 1996年から2000年までIABPを挿入した17,000人の患者の調査では、合併症の発生率は7%だった。

その一方で、重篤な合併症(下肢の虚血、重篤な出血、バルーンの破裂、 IABP挿入に伴うトラブル、あるいは死亡)は、2.6%で生じた。

9.1 血管性の合併症

血管穿刺部位が、大腿動脈の分枝ではなく、本幹に挿入されることは重要である。

その枝のどちらも、IABPを挿入するのに十分な太さを持っておらず、 これらにIABPが挿入された場合、下肢の虚血が生じる可能性がある。

穿刺部位があまりに末梢側であった場合、IABP挿入側の虚血を生じる可能性があり、 IABPの抜去を行わざるを得ないことがある。

血管の解離も、よく見られる合併症である。この場合、血管内に入っていなくても、IABPは正常に動作しうるため、 注意が必要である。血管のエコーを行うことで、この合併症は発見することができる。

9.2 他の合併症

IABPには、他にも多くの合併症がある。

9.2.0.1 コレステロール塞栓血症

コレステロール塞栓血症は、比較的まれな合併症であるが、 下肢の切断に至ることがある。この合併症は血小板減少症、腎不全の出現、 好酸球増加および腎臓の塞栓の影響で、尿中にエオジン好性の細胞が出現することで、診断する。

抗凝固療法は、コレステロール塞栓症の場合には、かえって予後を悪くする可能性があるともいわれている。

9.2.0.2 脳梗塞は生じにくい

脳血管発作は、通常は脳血管からバルーンが離れているため、IABPの患者に生じることは 少ない。IABPが近位へ置かれすぎた場合、または血栓の移動がバルーンにより生じた場合は、 脳梗塞が生じる可能性がある。

IABPの挿入期間が7日間以内であれば、敗血症の発症は比較的まれである。

9.2.0.3 バルーンの破裂

バルーンの破裂はまれな出来事で、石灰化されたプラークに対してバルーンを挿入した場合に生じる可能性がある。 バルーンの破裂孔から血栓がバルーンの内部に生じた場合、 外科的にバルーンを抜去する必要が生じることがある。

こうしたバルーンに関するトラブルは、バルーン内圧の波型をモニターすることで、回路のガス漏れと回路のキンク に関しては、予測できる。

図 13: 回路がキンクした場合のバルーン内圧波形
\includegraphics[width=.6\linewidth]{kink.eps}

他の合併症として、血小板減少、溶血、脊髄乏血、内臓の乏血、ニューロパチーなどが報告されている。

下記要因は、合併症の増加と関係しているという。


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admin 平成17年3月19日